「良い節税と悪い節税」を見極めて得する!

節税対策&ヒント

事業運営をしていると、まずは「儲けたい」「会社に利益を残したい」ということが第一目標となりますが、ある程度儲かってくると、今度は「節税したい」という “第二の欲” が出てきます。

節税には、「良い節税と悪い節税」があるといわれ、まさに玉石混交の状態です。”資金流出を伴わない” & “利益に結び付く” ような「良い節税」もありますが、”資金繰りを悪化”させたり “追徴課税” されるような「悪い節税」も転がっていますので、注意が必要です。

本ページでは、良い節税&悪い節税の大まかな見極め方についてご紹介したいと思います。「収益拡大」と「良い節税」にエネルギーを集中し、効率的な事業運営をしたいですね。

良い節税とは?

節税には、色んなタイプのものがあります。「お金の流出を伴わない節税」「売上拡大のための投資(将来の利益につながる出費)」「福利厚生を目的とした節税」などがあります。これらは「良い節税」といえます。

会社の収支・財政状態に合わせた様々な節税対策があります。以下に個別に確認してみて、出来そうなものがあったら、税理士さんなどに相談しつつ、実行してみましょう!

お金の流出を伴わない節税

一番 無駄が無い節税対策は、”お金を伴わない節税” です。つまり、適正時期に費用計上する節税、資産を費用化する節税、不良資産の損失計上による節税などですね。一例を挙げると、以下のようなものがあります。

  1. 未払費用の適正時期の計上
  2. 評価損(棚卸資産、有価証券など)
  3. 不良資産の処分(除却・廃棄)
  4. 回収不能債権の計上(貸倒損失の計上)

原理原則に立ち返って、”適切な会計処理” をするだけで “資金流出を伴わない節税” ができるのですから、この辺はハズせませんね。

売上拡大のための投資を前倒し(節税効果あり)

売上拡大のために行う投資等の具体案が固まっているようでしたら、それらの計画を「利益の出ている年度内に実施」して経費を計上するのも、一定の節税効果が期待できます。タイミングを逃さないで行う節税ですね。

  1. 販路拡大のための(効果の期待できそうな)広告宣伝費の計上
  2. 優秀な人材を確保するための採用面での投資
  3. 近い将来に行うことが決まっている修理、少額資産の費用計上
  4. 中小企業投資促進税制(特別償却 又は 税額控除)
  5. 試験研究費の税額控除

当期に費用計上(損金算入)できる金額を増やしつつ、来期以降の会社の売上増加にも つながるのであれば、ダブルでお得ですね。

これらを赤字になった年に実施しても、そもそも赤字には課税されませんので、節税効果は得られません。どうせやることが決まっているなら、黒字のうちに実行です。

ただし、いくら黒字であっても、それらの投資の必要性が乏しいのであれば、単なる「無駄遣い」に成り下がります。つまり、会社のキャッシュ(社内留保)を減らす行為に過ぎません。納税後の利益を そのまま現預金としてストックした方が賢明です。

社員の福利厚生に資する経費(節税効果あり)

従業員の士気を高めるような、福利厚生に関する経費も、節税策として有効です。良い人材を確保するうえで必要ですね。例えば、以下のようなものが挙げられます。

  1. 通勤費
  2. 健康診断の費用
  3. 食事代
  4. 慶弔費(お祝い金などの慶弔見舞金)
  5. 制服の支給
  6. 社員旅行

これらは、「人件費(給料)」的な色合いのものですが、従業員個人に所得税を課されることはありませんし、もちろん会社の経費として計上(損金算入)できます(ただし、税務上のルールを逸脱すると、個人への給与とみなされ、所得税が課されます)。お得ですね。

そして、「人として大切にしてもらっている」と感じさせる “最低限の福利厚生費” は、節税効果だけでなく、円滑な企業運営の下支えにもなります。

ただし、社員旅行は、福利厚生につながる反面、苦痛に感じる人も少なからずいます。イヤイヤ参加なら、士気低下になってしまい、単なる無駄遣いに成り下がってしまいます。社員の雰囲気を汲み取りつつ、慎重に検討したいですね。

また、会社の収益力に見合わない出費は、いくら社員の福利厚生とはいえ、結果的に会社の体力を奪ってしまうため、余力のある状態を保ちつつ、あるいは余力の範囲内で実施したいですね。

悪い節税は、意外に多い

一方、悪い節税とは、簡単に言えば、「今必要でないものを 無駄に買う行為」「節税というより、むしろ損する行為」ですね。

別の表現で申しますと、「無理矢理 考え出して作った節税策」「実は全然トクしていない節税」「将来の利益を生まない無駄遣い」といった言い方もできます。

例えば、

  1. 今必要も無いのに、期末に消耗品を大量購入する(無駄&税務上否認の可能性あり)
  2. まだ使える設備や資産があるのに、買い替えてしまう
  3. 不必要な交際費をどんどん計上
  4. 福利厚生の域を超えて、「リゾート会員権や施設」を購入
  5. 全額償却できるからといって中古資産を購入(4年落ちの中古車等)
  6. 経営者保険を「節税対策」の目的で加入(節税保険等)

… などです。他にも色々あると思います。

また、行き過ぎた節税行為は、節税ではなく「脱税行為」とみなされ、追徴課税の対象ともなりますので、注意が必要です。

現金を失うだけの節税は、本末転倒

「将来の利益を生み出す行為」ならOK

ご自身で今やろうとしている(お金の流出を伴う)節税対策が、何のためにやろうとしているものなのかを よく考えると、必要か必要でないかが見えてきます。

「単なる経費の計上」なのか、「本業の売上や利益を生み出す投資の一環として行うもの」なのかを慎重に考えてみると、ハッキリしてきます。結果的に その経費計上が「売上増加につながり、節税にも役立った」というのが理想的ですね。

「無駄な出費」は資金繰り悪化を招く

「悪い節税」となる行為は、単純に「無駄な買い物」というだけでは済まされない面があります。つまり、無駄な買い物をすることにより、会社の現金が消えてしまうからです。「節税と称する無駄金」ですね。

「税金払いたくないから節税する」(無駄遣いする)という安易な行為は、「経費の計上」⇒「利益が減る」⇒「キャッシュが減る」⇒「資金繰りが悪化」⇒「(資金繰り悪化を緩和するため)借入金が増える」⇒「借入金返済&利息負担増」⇒「更に資金繰りが悪化」という、悪循環の入口にもなり得るということを、基本的に押さえておくといいですね。

お金の流出を伴う節税よりも、借入金返済を優先すべき

借入金の返済が残っている会社は、「お金の流出を伴う節税」を控えた方が、経営リスクを減らせます。ひょっとしたら不必要かもしれない「ムダな節税対策」は、見直した方がいいですね。

借入金返済は、資金繰り(⇒ お金の過不足をやりくりすること)を圧迫する一因になりますが、前述のとおり「お金の流出を伴う節税対策」は 資金繰りを更に圧迫します。ダブルで苦しくなるわけですから、やる意味はあまりありませんね。

また、資金繰りの問題だけではありません。借金が残っていれば、その元金に対して利息が付くわけですから、チマチマと「必要性の乏しい経費」を落として作り出した節税分を「借入金利息」として 否応なく銀行に巻き上げられるだけです。

つまり、① 資金繰りを更に圧迫し、なおかつ ② 借入金利息を数パーセント支払い続けることにもつながってくる わけですから、「基本的にトクではない」ということがわかりますね。

もちろん、「仮に借入金があっても、事業の継続や成長のために投資をする」というのはOKだと思います。しかし、返すべきものを返していないのに、「節税を優先して考える」のは、本末転倒ですね。

財政状態が悪い会社とは取引したくない …

資金に余裕が無ければ、経営は悪化しますし、会社の貸借対照表(財政状態)も「現金が少ない」「借入金が多い」ような、見栄えの悪いものになります。株式会社なら、決算公告でバッチリ公開されます。

財政状態の悪い会社は、不渡りを起こすリスクが増大するため、取引を敬遠される可能性も大きくなります。また、銀行から新規融資を受けたくても、預金が少なかったり借入金が多い会社には「厳しめな視線」を浴びせてきます。