福利厚生費で節税 – 慶弔見舞金

節税対策&ヒント

本ページでは、慶弔見舞金支給のメリットや節税効果をご紹介します。慶弔見舞金の支給基準、災害見舞金の取り扱い、会社加入の保険金から支給する際の注意点、社外への慶弔見舞金の処理方法等についても解説しています。

慶弔見舞金とは

社員への福利厚生の一環として、「慶弔見舞金」(けいちょうみまいきん)を支給し、それを経費に計上することが可能です(従業員側でも所得税はかかりません)

慶弔見舞金 とは、会社が役員・従業員あるいはその家族の慶弔時に支給する祝い金や香典、傷病や被災や傷病の際に支給する見舞金のことをいいます(以下の枠内に具体例を記載しました)

税務上、慶弔見舞金が経費として認められるようにするには、(1) 「慶弔見舞金規程」 などの社内規程をあらかじめ作成し、その規程に従って支給すること、(2) また「社会通念上相当」と認められる額(常識の範囲内の金額)の支給であることが必要となってきます。

支給することにより、従業員の勤労意欲の維持・向上が図られますし、(社長のポケットマネーではなく)会社の費用として計上することにより、節税の効果も得られます。

なお、慶弔見舞金を支給する場合は、支給事由を確認できる書類(招待状、公的確認書類、退院証明書、罹災証明書等)を本人から提出してもらい、会社で保管しておきましょう。

また、会社側で慶弔見舞金受給申請書を用意し、必要事項を記入してもらい提出を受けましょう。これらの確認書類を備えておけば、税務調査でトラブルにならずに済みます。

① 慶弔費
(1) 慶事(祝いごと)での御祝い金など

例: 結婚祝い金(本人、本人の子供
出産祝い金(本人、配偶者)
誕生祝い金(本人)
成人祝い金(未成年の従業員を想定する場合)
自社の創立記念日の飲食費(全従業員に一律支給する場合)
その他 御祝い金、祝い品など。

(2) 弔事(死亡・葬儀などのおくやみごと)に対する死亡弔慰金など

例: 御香典及び御仏前(本人、本人の家族)
葬儀用の花輪(本人、本人の家族)など。

費用計上&仕訳について

慶弔見舞金は、「福利厚生費」(経費)の科目で仕訳し、会社や個人事業の費用として計上(損金計上)します。シンプルな仕訳ですね。

例:従業員に「結婚祝い金」を支給した。

 (借 方)  (貸 方)
福利厚生費 30,000 現金 30,000

支給額はいくらまでOK?

慶弔見舞金の支給額については、特に厳格な決まりはありません。会社で独自に適正な金額を設定すればいいのですが、前項記載の通り、会社であらかじめ 「慶弔見舞金規程」 を作成しておき、その規程にのっとって「決まった金額」を支給することが大事です。

金額の相場は、以下のとおりです。例えば、(”勤務先である会社”から支給する)結婚祝金なら、1~3万円程度が妥当といえます。

常識の範囲を超えない程度の金額(社会通念上相当と認められる額)に設定しておけば、後々の税務調査でトラブルにならずに済みます。

種類 支給額 (一例) 相場
結婚祝い金 3万円 1~3万円
出産祝い金 1万円 1~3万円
傷病見舞金
(入院見舞金)
業務内 業務外私傷病 業務内 業務外私傷病
1週~1か月 2万円 1万円 3万円程度 1万円程度
1か月以上 3万円 1万円
弔慰金 本人 10万円 5~10万円 (※)
配偶者・子供 5万円 1~5万円程度
父母・義父母 3万円
災害見舞金 全焼・全壊 10万円 本人の住居の場合、
2~10万円程度
半焼・半壊 5万円

(※: 業務内と業務外の区分を規定する会社もあります)

ただし、税務調査で「社会通念に照らして、ちょっと高いんじゃない?」と判断された場合、「社会通念上 相当と認められる額」を超えた分については、「従業員への賞与(あるいは給与)」を支給したものとみなされ、(従業員個人の)所得税の課税対象となります。また、役員の場合ですと、超過分は役員賞与とみなされ、会社の経費として計上できないばかりか、所得税の課税対象にもなり、ダブルで打撃を受けますので、金額を設定する際は慎重を期した方が良いですね。