「非課税となる制服等」とは
会社の制服(事務服や作業服)については、業務上必要となるものであれば 福利厚生費 として計上できることになっていますが、不備があると「現物給与」(給与の支給)として扱われますので、少し注意が必要です。
国税庁では、制服等の支給について「職務の性質上制服を着用しなければならない人に対して支給又は貸与する制服その他の身の回り品、事務服、作業服等については、課税されない」(所法9①六、所令21二、三、基通9-8)と規定しています。
ここでいう「課税されない」とは、「従業員への現物給与として所得税が課税されることはない」という意味です。
福利厚生費となるための要件
「非課税となる制服等とみなされる(現物給与とみなされない)ための条件」、すなわち「福利厚生費となるための条件」について、国税庁で具体的な基準を公表していますので、以下でご説明いたします。
【 事務服、作業服等の支給が非課税となるための要件 】
1. | 専ら(もっぱら)勤務する場所において通常の職務を行う上で着用するもので、私用には着用しない又は着用できないものであること。 |
2. | 事務服等の支給又は貸与が、その職場に属する者の全員又は一定の仕事に従事する者の全員を対象として行われるものであること(更に厳格にいえば、それを着用する者がそれにより一見して特定の職員又は特定雇用主の従業員であることが判別できるものであること)。 |
もう少しかみくだいて言うと、↓次のような言い方↓もできます。
① | 会社内、あるいは会社の勤務場所でのみ着用するものであること |
② | 職場全員あるいは同一業務の従業員全員が着用するものであること |
③ | 社名・屋号やロゴマークが入っていること(一見して判別可能) |
「勤務場所・従業員全員・社名」について
前述の要件について、本項で詳しく解説いたします。
「①.(勤務場所でのみ着用)」については、会社の事務所や自社工場で着用する事務服・作業服(ユニフォーム)に加え、会社外の所定の勤務場所、例えば建設現場やガードマンなどが 社外の現場 で着用する作業服も含みます。
しかし、勤務場所だけでなく、通勤等(勤務場所以外)でも使用できるようなスーツ(背広)は、福利厚生費とはならず、現物給与とみなされます。つまり、私服着用可能なものはアウトです。
「②.(同一業務の従業員全員)」については、文字通り「同一業務に携わる従業員全員に同じ制服が支給され、それを着用している」という意味になります。
しかし、同じ職場内、あるいは同じ部署・作業場内で、制服や作業服を着用している人もいれば、私服の人もいる・・・、つまり「一部の人にのみ制服を供与する」ものだと、そもそも「社員への福利厚生」という目的から外れてしまうため、税務上は否認され(損金処理できない)、現物給与 扱い となります。
「③.(社名・屋号・ロゴマーク ~ 一見して判別可)」については、社名(個人事業主の場合は 屋号)やロゴマークが入っていることにより、明らかに自社の業務のために使用するものであることを示すことができます。つまり、他の用途に使えないものであることを明示できます。
[ 参考リンク ]
- 国税庁 「背広の支給による経済的利益」