決算で残高証明書は必要?不要?

会計・経理処理

本ページでは、決算時に「銀行の残高証明書」が必要かどうかについて、税務上および経理上の観点から解説したいと思います。残高を確認することについては、税務署・税理士ともに大変重要だという認識で共通していますが、残高証明書を用意するかどうかについては、捉え方が少しだけ異なります。

残高証明書は必要?

税務上の義務ではない

「決算時や中間決算時に銀行の残高証明書の添付が必要かどうか?」ということについてですが、結論から申しますと、必要ではありません(不要、あるいは無くてもOK)。出資者(株主)等への報告義務などがあるなら別ですが、基本的に中小企業に(税務上の)添付の義務はありません

通帳で確認可能

銀行の通帳に 預金残高 が記帳されていますので、税務調査で預金残高を確認したい場合は、通帳の提出を求めてきます。つまり、通帳そのものが「立派な証憑書類」となります。

なお、通帳の記載内容を決算書類と一緒に管理したい場合は、普通預金であれば通帳のコピーを、当座預金なら当座預金照合表のコピーを保管しておけば、十分間に合います(通帳は別途保管可)。

税理士が「残高証明書」を依頼する理由

対外的&作成補助のため依頼

このように、税務署が「義務ではない」と言っているのに、実際には顧問税理士から「残高証明書を取ってほしい」と依頼されることがほとんどのようです。では、なぜ税理士は残高証明書を取るように言ってくるのでしょうか。

主な理由は、「 (1) 税務署側のチェックをスムーズに行わせる目的」や、「 (2) 税理士が正確に数字を把握して決算書類を作成する目的」等です。

(1) については、「残高証明書があれば、取引銀行のトータルの残高を一発で確認できるため、税務署の理解も早い(無用な誤解をされにくい)」ということです。一つの取引銀行で複数の口座がある場合、残高証明書で全体の残高を確認できれば、「(その銀行に限っては)隠し口座が無い!?」ことが証明されます。

(2) も、(1) と似たような理由ですが、一つの取引銀行で通帳・口座を複数持っている会社も多いため、計上漏れのないよう、残高証明書で正確に把握し作成する必要があるということです。

他にも理由があると思いますが、いずれにしても「確定申告書の作成者」としての責務として 依頼してくる、ということだと思います。

大半の税理士が残高証明書を依頼

既述のとおり、税務上の義務は無いのですが、大半の税理士が残高証明書を取るよう、会社側に依頼してきます。税理士さんが「残高証明書を添付してほしい」といってきたら、上記のような理由でお願いしてきていると思います。

ただし、残高証明書は、1通 700円~800円(+消費税)くらいしますので、期末や中間決算で複数行の残高証明書を取得すると、意外と金額が膨れ上がります。少しでも負担を軽くしたい場合は、税理士さんとよく相談されるといいですね(応じるかどうかは税理士さんの判断によります)。

税務調査では通帳を確認することもある

税務調査では通帳で「金の流れ」を確認

残高証明書も正式な証憑書類であり、決算書に添付したり、領収書などと一緒に保管していれば、税務調査などの場面でも、すぐに残高の全体像を確認できますので、便利といえば便利です。

・・・ですが、税務調査では、預金の残高や推移は、重要な調査項目のひとつとなっていますので、残高証明書の有無に関わらず、「預金出納帳」や「銀行通帳」をチェックしてくる場合があります。

もっとハッキリ申しますと、残高証明書は、決算期末のその日の残高、つまり「点」しか確認できない証憑ですが、通帳は 期首から期末まで、もっと言えば複数年のお金の流れを「線」や「面」で確認できる証拠書類といえます。

「怪しいお金の動き」や「申告外の所得が無いか」などを見つけられるネタ帳ですので、税務署側からみれば「通帳でも確認したい」と考えると思われます。

銀行への照会も可能

なお、税務署が会社の口座残高などを本気で調べたい場合は、銀行に照会をかけて確認することが可能です(これを “反面調査” といいます)。残高証明書があっても無くても、税務署が正確な情報を把握することは容易です。