法人化の「その他のメリット」とは?
法人成り(法人化)のメリットで特筆すべき点は、前ページでお伝えした「税金面のメリット」以外にも色々あります。本ページでは、税金面以外で得をするポイントについて確認してみることにします。
【 法人化の「他のメリット」 】
① | 対外的な信頼度が増す (取引先、仕入先、顧客、金融機関等) |
② | 人材確保が有利になる |
③ | 経営者自身も厚生年金に加入でき、老後の安定につながる (一部デメリット) |
④ | 資本と経営の分離ができる |
⑤ | 私生活と事業の通帳・財布を 明確に分離できる |
特に、法人化による 「対外的な信頼度の向上」 や 「人材確保の優位性」 は、今後の事業成長・拡大に大きく影響してくる 重要な要素 になります。 それ以外の点も含め、次項以降で個別に解説いたします。
①:対外的な信頼度が増す
税金面以外での「法人化の一番のメリット」は、やはり取引先(販売先・顧客、仕入先)、金融機関等などからの対外的な信用度が増すことです。
取引先 (販売先・仕入先) から信頼されやすい
法人の場合、社長が変わっても会社は存続できますが、個人の場合は「その代表者に何か問題(経営面、健康面、突然の事故)が生じると、事業(取引)の継続が困難になる」といった、大きな不安定リスクがあります。
相手側の企業から見れば、このようなリスクを抱えた 『個人』 と取引するよりは、① 収益力があって ② 規模も大きく ③ 安定した 『法人』 と取引した方が、安心して取引できるはずです。
また、個人事業は、法人の会社設立のような面倒な手続きや多額の費用を要することなく、誰でも簡単にスタートできます。その反面、いつでも 転業(商売がえ) & 廃業 できるという身軽さも持ち合わせています。
このため、取引を検討する相手先企業からしてみれば、「個人事業主は、(いつ転業・廃業するかわからないので)取引先として信用しづらい、不十分」と映ってしまうことも否めません。
法人の中でも 特に 「株式会社」 であれば、業績を対外的に公表する義務(これを決算公告といいます)があるため、相手先企業があなたの会社を事前に調査しやすくなるという 「相手先側のメリット」 も生まれ、取引が成立しやすくなります。
もちろん、個人事業であっても、取引先からの信頼を得て順調に事業を運営しているケースも多数あります。しかしながら、「(組織がしっかりした)法人でないと取引しない」という取り決めをしている企業も少なからず存在することも事実です。
銀行からの資金調達が容易になる
一般的に、「法人の方が銀行からの融資を受けやすい」と言われています。銀行側から見ても、小規模で 得られる収益も少ない「個人」よりは、規模が大きくて比較的収益力のある「法人」の方が、低リスクで融資できます。
また、(法人のように)規模が大きければ、保有資産も比較的に多いため、万一の倒産の場合も何かしら回収できる という思惑もあります。融資したお金を回収しやすい方(≒法人)に優先して貸し出すのは、当然の判断だと思われます。
②:人材確保が有利になる
法人化すると、個人事業時代よりも人材確保(従業員の採用)が比較的有利になります。例えば、(個人事業の)屋号に「株式会社」とか「合同会社」のような名称が付いていないと、職探しをしている人からすれば、直感的に「なんだか怪しい。会社なの?誰?何者?」と感じてしまうこともあろうかと思います。
もし、あなたの(個人)事業に対して、第一印象でこのような「疑いの目」を持つ人だったら、その後も良い印象を持つ可能性は低いと思われます。
一方、名前に「株式会社」 「合同会社」 が付いていれば、職探しの人からしてみると、「 『会社』 と名の付くところだから、他の従業員がいて、それなりの規模なのかな?」という “勝手なイメージ” を持つ人も 少なからずいると思われます。
この “イメージの差” が、人材確保の明暗を分けてしまうことになります。 「個人事業でも 法人でも やっている事業内容は同じ」 であっても、イメージ(印象)が違うだけで、人材確保に大きな差が出てくることになります。
なぜ、個人事業よりも法人に好印象を持つのでしょうか。それは、 ① 法人の場合、個人事業と違って給与体系、有給休暇、残業手当などの基準が明確である場合が多いこと、 ② 法人の場合、従業員の社会保険料を半額負担してくれること、 ③ 福利厚生面も(個人事業よりは)充実しているイメージがあること、などの理由があるからです。
仕事を探している人も、やはり「待遇の良さ」が一番の条件になりますので、個人事業よりも法人の方へ足が向くのは、ごく自然の流れですよね。