合名・合資会社の長所&短所

会社設立 (法人の開業)

合名・合資会社とは

合名会社とは、社員(=出資者)が会社の債権者に対し直接連帯して責任を負う「無限責任社員」だけで構成される会社形態のことをいいます。

従前は、2名以上の無限責任社員が必要でしたが、会社法施行に伴い、1名以上で合名会社を設立できるようになりました。

一方、合資会社は、「無限責任社員」と「直接有限責任社員」とで構成される会社形態をいいます。直接有限責任社員は「出資金についてはその金額の範囲内で限定的に責任を負う」ということになっていますが、会社債権者に対しては「直接責任を負う」こととなっています。

ちなみに、合同会社の場合、「間接有限責任社員」のみで構成されています。間接有限責任社員は、「出資額の範囲内においてのみ責任を負う」ということになっており、個人的に連帯保証人や担保提供者等になっていない限り、出資額以上の責任を負うことはありません。

・・・ということで、会社法施行に伴い「合同会社」という会社形態が誕生した現在、「経営陣が直接リスクを負う合名・合資会社」を敢えて設立する方は少なくなってきているようです。

合名会社や合資会社は、資本金の制度が無く、出資は信用・労務や現物出資(つまり現金による出資は義務付けされていない)が認められています。

また、トータルの設立費用を少なく抑えることができます。その他のメリットについては、合同会社と大体同じです。

設立手続きにかかる費用がかからず、少ない投資で設立できる会社設立コストを抑えられる
資本金の制度が無く、出資は信用・労務や現物出資のみでもOK(現金による出資は義務付けされていない)。
設立時の事務手続きも株式会社や合同会社よりも簡単。
合名・合資会社は「持分会社」なので、定款自治の範囲が広く、会社法に違反しない限り、自由に定款に規定することが可能(会社の内部組織等を定款で自由に設計できる)。
個人事業者と違って社会保険(厚生年金)に加入できる。
合名会社は、会社法施行に伴い、無限責任社員1名のみで設立可(合資会社は2名以上必要。短所参照)。
決算公告の義務がないため、株式会社のように毎年決算時に会社の決算書を公表しなくていい(決算を公表したくない会社には最適。ただし、現在は経過観察措置であり、将来的には法改正されて決算公告の義務が生じる可能性はあります)

合名・合資会社のデメリット (短所)

合名・合資会社のデメリットは、既述の通り、何といっても「社員(出資者)が会社債権者に対して直接責任を負う」ことです。このデメリットが後にも先にも最大のネックとなっています。「行きは良い良い(設立時のコストは少額)、帰りは怖い(不測の事態発生時には責任が重過ぎる)」では、やはり二の足を踏んでしまいますね。

合名会社の代表者は、無限責任社員で構成、つまり仮に訴訟や事業が失敗したときの責任追及は、「無限に責任を有する社員」である出資者(の全ての資産)に及ぶ
合資会社は、社員は2名以上でないと設立できない(無限責任社員1名、有限責任社員1名)。1名になったら、合名会社や合同会社等に組織変更する必要がある(合名会社は1名で可。長所参照)。