税法上の区分に基づく課税金額
前出の「税法上の区分」(扱い)を踏まえ、「退職所得」「公的年金等の雑所得」「一時所得」「みなし相続財産」の課税金額について確認してみましょう。
【 退職所得 】
退職金(共済金等)にかかる税額(税金)の計算方法は、以下のとおりです。まずは、退職所得の控除額を計算します。
勤続年数20年まで1年間あたりで40万円、勤続年数21年からは1年あたりで70万円までが控除され、残りの金額(退職所得控除額を上回る金額)の2分の1に対し、所得税および地方税がかかります。退職金が退職所得控除額を下回っていれば、課税額はゼロです。
課税額=(退職金-退職所得控除額 [下表])÷2×税率
勤続年数 (契約期間) |
退職所得控除額 |
1年 | 退職所得控除額=80万円 (80万円に満たない場合は、80万円) |
2~20年 | 退職所得控除額=勤続年数×40万円 |
21年以上 | 退職所得控除額=800万円+(勤続年数-20年)×70万円 |
障害者になったことに直接起因して退職する場合は、上表の計算結果に 更に100万円を加算した金額が退職所得控除額となります。
【 公的年金等の雑所得 】
なお、「共済金」、「準共済金」、「退職所得扱いとなる解約手当金」を受け取る場合、税金を差し引いた金額が振り込まれるため、原則、確定申告をする必要はありません(共済金を請求する際に『退職所得申告書』の提出が必要)。
ただし、共済金等を請求する際、すでにほかから退職金が支給されていた場合、合算して源泉徴収税額を計算することになりますので、中小機構に源泉徴収票を提出します。
分割受け取りの場合、「公的年金等の雑所得」扱いとなります。分割共済金を受け取る場合、所得税および復興特別所得税は一旦差し引かれますが、この場合、厚生年金や国民年金等、他の公的年金と合算した金額から「公的年金等控除額」を差し引いた金額をもとに課税計算する必要があります。このため、確定申告をして税金の過不足を再度計算しなおさなければなりません。
【 一時所得 】
一時所得は、そのほかの所得などと合計して、確定申告で税金を計算します。退職所得のような課税控除の措置はありませんので、普通に、確定申告で納める税金を計算します。
せっかく、月額の掛金が全額課税控除の対象となっていたにもかかわらず、一時所得として受け取ったら、「控除になってコツコツと得をした節税分」を一気に&ゴッソリと税金で持っていかれます。なお、払い込みした掛金の総額は、一時所得の金額の計算上、支出した金額に算入できません。
【 みなし相続財産 】
共済契約者の死亡により、遺族が共済金(死亡退職金)を受け取る場合、「みなし相続財産」として相続税の対象になりますが、非課税限度額(後述)を上回っていた場合にのみ、課税価格に加算します。なお、死亡退職金と生命保険金は、この「みなし相続財産」に区分されます。
みなし相続財産の「非課税限度額」の計算式は、「500万円×法定相続人の数=非課税限度額」となります。この金額を下回った場合、課税価格に加算しません。
ちなみに、相続財産は「本来の相続財産」、「みなし相続財産」、「相続開始前3年以内の贈与財産」、「相続時精算課税による贈与財産」に大別されます。
これらを合算した金額から、「非課税財産」や「債務・葬式費用」を差し引き、「課税価格」を算出します。そこから基礎控除額「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」を差し引き、課税遺産額(課税遺産総額)を算出、・・・といった手順で計算していきます(詳細な説明は割愛します)。
掛金の納付方法
共済掛金は、掛金の払込方法(払込区分)は「月払い」「半年払い」「年払い」から選択でき、預金口座振替での払い込みになります。払込区分は、途中で変更することもできます。
なお、共済掛金は、過去に遡って納めることは出来ません。ただし、掛金を年払いで支払うと、加入した月以降の1年分の掛金をあらかじめ払い込んだことになり(一括前払い)、払い込んだ掛金全額がその年の所得控除の対象となります。その後、変更手続きを行えば、1年後から毎月払いにすることもできます。
[ 参考リンク ]
- 中小機構「小規模企業共済 – 手続き一覧」