共済金・解約手当金の受取額
共済金の受取額が一番多くなるのは、共済金Aで、続いて共済金B、準共済金の順となっています。
下表は、掛金を毎月1万円とした場合の例ですが、例えば、20年間納付して「共済金B」に該当した場合、掛金240万円が「266万円」になって支給されます。26万円も増えて戻ってきます(掛金残高比 111%)。スゴイですね。イマドキこんなにリターンが大きく、かつ安定した利殖の方法は、他にありませんね!
しかし、任意解約の場合は「解約手当金」に区分され、受取額が大幅に減ります。15年間納付で解約手当金として受け取った場合は、掛金180万円が「167万円」に減額され、13万円以上も損をします(掛金残高比92.5%)。20年間払い込みをすると、やっと掛金と同額の解約手当金を受け取れます。
このため、共済金A、共済金B、準共済金で受け取るのか、あるいは任意解約で解約手当金として受け取るのかといった、「請求事由の区分」は大変重要になってきます。つまり、メリットを享受するためには、「退職金」や「老後の年金」といった “明確な目的” を持つことが求められますね。
【 請求事由別 受け取り額について 】(掛金 月額1万円の場合)
掛金 納付年数 |
掛金残高 元の掛金 |
共済金A | 共済金B |
5年 | 60万円 | 62.1万円 |
61.4万円 |
10年 | 120万円 | 129万円 |
126万円 |
15年 | 180万円 | 201万円 |
194万円 |
20年 | 240万円 | 279万円 |
266万円 |
25年 | 300万円 | 362万円 |
342万円 |
30年 | 360万円 | 435万円 |
421万円 |
35年 | 420万円 | 505万円 |
505万円 |
最低 納付月数 |
6ヵ月 以上 |
6ヵ月 以上 |
掛金 納付年数 |
掛金残高 元の掛金 |
準共済金 | 解約手当金 |
5年 | 60万円 | 60.0万円 | 48.0万円 |
10年 | 120万円 | 120万円 | 102万円 |
15年 | 180万円 | 180万円 | 167万円 |
20年 | 240万円 | 242万円 |
240万円 |
25年 | 300万円 | 311万円 |
308万円 |
30年 | 360万円 | 383万円 |
378万円 |
35年 | 420万円 | 460万円 |
452万円 |
最低 納付月数 |
12ヵ月 以上 |
12ヵ月 以上 |
基本共済金の受け取り額は、小規模企業共済法施行令の「別表第一(第二条、第四条関係)」に明記されています。
共済金A (A共済事由)は第二欄を使用、共済金B (B共済事由)は第三欄を使用、準共済金は第四欄を使用します。一口500円当たりの受け取り額が記載されていますので、「掛金月額1万円に対する 将来の受取額」を計算するには、「別表第一の金額×20倍」にすれば金額が出ます(10,000円÷500円=20口分であるため)。月額2万円なら、「別表第一の金額×40倍」といった具合で算出できます。
解約手当金は、同じページ下段の「別表第二(第四条関係)」に「支給割合」が掲載されています。なお、中小機構ホームページの「共済金(解約手当金)について → 基本共済金の額 および 解約手当金の額の算定方法」のページにも掲載されています。
[ 参考リンク ]
- 中小機構「小規模企業共済 – 共済金の額の算定方法」
- 中小機構「小規模企業共済 – 加入シミュレーション」
共済の「税法上の区分」について
『脱退理由』 によって、受取額の区分が「共済金A」、「共済金B」、「準共済金」、「解約手当金」に分かれることについては、前出の「請求事由」でご説明しましたが、その 『受け取り方』(一部脱退理由も含みますが) によって、税法上の扱いが変わってきます。
つまり、中小機構の区分と、国税庁の区分・基準が少し異なっており、課税される金額(課税控除額)が変わってきます。
例えば、「65歳以上の任意解約」の場合、中小機構の区分では、掛金に対してリターンの少ない「解約手当金」となりますが、課税区分は「退職所得」扱いとなり、税金面では優遇されています。
また、「共済金B」に該当し、それを一括で受け取るなら「退職所得」扱いとなり、中小機構の支給額 & 課税控除額 の両方で得をする、といった具合になります。
種類 | 税法上の扱い |
共済金・準共済金の一括受け取り | 退職所得 扱い |
共済金の分割受け取り | 公的年金等の雑所得 扱い |
共済金の一括・分割 併用受け取り | (一括分) 退職所得 扱い (分割分) 公的年金等の雑所得 扱い |
共済契約者の死亡(死亡退職金) | (相続税法上)みなし相続財産 |
65歳以上の任意解約(解約手当金) | 退職所得 扱い |
65歳未満の任意解約(解約手当金) | 一時所得 扱い |
個人事業主が法人成りし、役員に就任(解約手当金) | 退職所得 扱い |
個人事業主が法人成りし、共同経営者が役員に就任(解約手当金) | 退職所得 扱い |
65歳以上の共同経営者が任意退任(解約手当金) | 退職所得 扱い |
65歳未満の共同経営者が任意退任(解約手当金) | 一時所得 扱い |
12ヶ月以上の掛金の未払いによる解約(解約手当金) | 一時所得 扱い |
退職所得扱いになる場合、共済金、準共済金、解約手当金を受け取る際、『退職所得申告書』に記入して提出する必要があります。
[ 参考リンク ]