小規模企業共済制度 (4) ~ 共済金・解約手当金の受取額、税法上の区分

年金・福祉・福利厚生

共済金・解約手当金の受取額

共済金の受取額が一番多くなるのは、共済金Aで、続いて共済金B、準共済金の順となっています。

下表は、掛金を毎月1万円とした場合の例ですが、例えば、20年間納付して「共済金B」に該当した場合、掛金240万円が「266万円」になって支給されます。26万円も増えて戻ってきます(掛金残高比 111%)。スゴイですね。イマドキこんなにリターンが大きく、かつ安定した利殖の方法は、他にありませんね!

しかし、任意解約の場合は「解約手当金」に区分され、受取額が大幅に減ります。15年間納付で解約手当金として受け取った場合は、掛金180万円が「167万円」に減額され、13万円以上も損をします(掛金残高比92.5%)。20年間払い込みをすると、やっと掛金と同額の解約手当金を受け取れます。

このため、共済金A、共済金B、準共済金で受け取るのか、あるいは任意解約で解約手当金として受け取るのかといった、「請求事由の区分」は大変重要になってきます。つまり、メリットを享受するためには、「退職金」や「老後の年金」といった “明確な目的” を持つことが求められますね。

【 請求事由別 受け取り額について 】(掛金 月額1万円の場合)

掛金
納付年数
掛金残高
元の掛金
共済金A 共済金B
5年 60万円 62.1万円
61.4万円
10年 120万円 129万円
126万円
15年 180万円 201万円
194万円
20年 240万円 279万円
266万円
25年 300万円 362万円
342万円
30年 360万円 435万円
421万円
35年 420万円 505万円
505万円
最低
納付月数
6ヵ月
以上
6ヵ月
以上
掛金
納付年数
掛金残高
元の掛金
準共済金 解約手当金
5年 60万円 60.0万円 48.0万円
10年 120万円 120万円 102万円
15年 180万円 180万円 167万円
20年 240万円 242万円
240万円
25年 300万円 311万円
308万円
30年 360万円 383万円
378万円
35年 420万円 460万円
452万円
最低
納付月数
12ヵ月
以上
12ヵ月
以上

基本共済金の受け取り額は、小規模企業共済法施行令の「別表第一(第二条、第四条関係)」に明記されています。

共済金A (A共済事由)は第二欄を使用、共済金B (B共済事由)は第三欄を使用、準共済金は第四欄を使用します。一口500円当たりの受け取り額が記載されていますので、「掛金月額1万円に対する 将来の受取額」を計算するには、「別表第一の金額×20倍」にすれば金額が出ます(10,000円÷500円=20口分であるため)。月額2万円なら、「別表第一の金額×40倍」といった具合で算出できます。

解約手当金は、同じページ下段の「別表第二(第四条関係)」に「支給割合」が掲載されています。なお、中小機構ホームページの「共済金(解約手当金)について → 基本共済金の額 および 解約手当金の額の算定方法」のページにも掲載されています。

[ 参考リンク ]

共済の「税法上の区分」について

『脱退理由』 によって、受取額の区分が「共済金A」、「共済金B」、「準共済金」、「解約手当金」に分かれることについては、前出の「請求事由」でご説明しましたが、その 『受け取り方』(一部脱退理由も含みますが) によって、税法上の扱いが変わってきます。

つまり、中小機構の区分と、国税庁の区分・基準が少し異なっており、課税される金額(課税控除額)が変わってきます。

例えば、「65歳以上の任意解約」の場合、中小機構の区分では、掛金に対してリターンの少ない「解約手当金」となりますが、課税区分は「退職所得」扱いとなり、税金面では優遇されています。

また、「共済金B」に該当し、それを一括で受け取るなら「退職所得」扱いとなり、中小機構の支給額 & 課税控除額 の両方で得をする、といった具合になります。

種類 税法上の扱い
共済金・準共済金の一括受け取り 退職所得 扱い
共済金の分割受け取り 公的年金等の雑所得 扱い
共済金の一括・分割 併用受け取り (一括分) 退職所得 扱い
(分割分) 公的年金等の雑所得 扱い
共済契約者の死亡(死亡退職金) (相続税法上)みなし相続財産
65歳以上の任意解約(解約手当金) 退職所得 扱い
65歳未満の任意解約(解約手当金) 一時所得 扱い
個人事業主が法人成りし、役員に就任(解約手当金) 退職所得 扱い
個人事業主が法人成りし、共同経営者が役員に就任(解約手当金) 退職所得 扱い
65歳以上の共同経営者が任意退任(解約手当金) 退職所得 扱い
65歳未満の共同経営者が任意退任(解約手当金) 一時所得 扱い
12ヶ月以上の掛金の未払いによる解約(解約手当金) 一時所得 扱い

退職所得扱いになる場合、共済金、準共済金、解約手当金を受け取る際、『退職所得申告書』に記入して提出する必要があります。

[ 参考リンク ]