収入印紙を正しく貼って節税

節税対策&ヒント

収入印紙について少しおさらい

本項では、「収入印紙を貼る必要のある文書」(=課税文書といいます)に、印紙を貼り忘れたり、消印漏れがあった場合に課されるペナルティー(過怠税)について解説いたします。 ・・・その前に、収入印紙がどのようなものかを簡単におさらいしたいと思います。

収入印紙とは、「租税、手数料、収納金を徴収するために、政府が発行している証票」のことをいいます。収入印紙は 国庫の収入(国の一般会計の歳入の一部)になりますが、毎回税務署や市役所に納税するのは煩雑なので、代わりに「収入印紙」という形で納付してくださいね、というものになります。

収入印紙を貼らなければいけない文書 は、皆さんご存じのとおり、「契約書」「領収書」「約束手形や為替手形」「請負契約書」「不動産売買契約書」「土地賃貸契約書」など、イロイロあります。”決められた金額” を所定の箇所に貼り付け、消印をします。

例えば、領収書の場合、5万円未満なら非課税ですが、5万円以上~100万円未満の領収書なら200円の印紙を、100万円以上~200万円未満なら400円の印紙を貼らなければいけません。

貼り忘れた場合のペナルティーとは?

もし これらの課税文書に 収入印紙を貼らなかった場合(貼り忘れた場合)、「本来貼るべき印紙税額の3倍の過怠税」(納付しなかった印紙税額+2倍=合計3倍)が課せられます。

貼る金額を間違えて 本来よりも少ない金額を貼った場合 も、「足りなかった金額×3倍の過怠税」がかかります。

また、貼り付けた印紙に消印をしなかった場合 は、「貼り付けるべき印紙と同額の過怠税」がかかってきます。

「印紙税額を 事前にしっかり確認しなかったがために、必要以上の税金を支払わなければいけない」とは、なんとも もったいない 感じがします。しかしながら、「収入印紙 ≒ 税金」ですから、「貼り忘れた=適切な時期に納税(納付)しなかった」というふうに(税務署側から)解釈されても仕方がありません。

こういった “うっかりミス” や “勘違い” を無くすことにより、会社の税金負担を増やさないで済みますので不必要な税金を支払わないで済むように注意する ⇒ 節税につながる)、普段からきちんと管理していきたいですね。

過怠税は「損金」になるのか?

収入印紙を使用(&消印)した場合は、事業税や固定資産税などと同じように「租税公課」の科目で経費に計上することができます。つまり、税務上(法人税)の「損金」に算入することが認められています。

しかし、過怠税は、損金に算入できません。つまり、経費として認められなくなるので、その分会社の法人税が増えることになってしまいます。加えて、過怠税そのものの負担(3倍、1.1倍etc.)もあるので、ダブルパンチでダメージを受けてしまいますね!

ここで注意したいのは、本来の「1倍」に相当する部分も損金不算入になるという点です。例えば、本来貼り付けるべき印紙税が1万円で、過怠税が1.1倍とされた場合、「1.1万円全額が過怠税」という扱いになりますので、全額損金不算入になります。差額の0.1万円だけではありません。

また、消印をしなかった場合(消印の仕方は次ページ参照)も、「同額の過怠税」がかかるわけですから、せっかく印紙を貼り付けて経費に計上していても、発覚時に損金不算入とされてしまいます。結構ダメージが大きいですね。

このため、「印紙税を貼る必要のある課税文書」がある場合には、事前に正確な印紙税額を確認し、しっかりと消印をするなど、ミスの無いようにしたいですね。

自己申告なら 過怠税は軽減

印紙税額の不備については、税務調査(印紙税調査)の際に税務署員が課税文書をチェックして発覚するケースが多いようです。

ただし、それよりも前の段階で会社側(経営者側)で不備に気付き、自主的に申し出た場合、すなわち 事前に「印紙税 不納付事実申出書」を提出した場合には、1.1倍の過怠税で済みます(全額損金不算入)。

「今さら言うのは・・・。バレなきゃいいじゃん。」という気持ちもわからないでもないのですが、金額的なダメージや、会社(or 個人事業)のイメージ悪化などを考えますと、早目に対処した方がよさそうですね。

特に、消印漏れなどは、見つけ次第 すぐに割印(署名)できますので、手元に保管している(過去の)文書については、早目に見直しておくといいですね。

なお、税務調査(印紙税調査)で発覚したその場で自らの非を認めて「不納付事実申出書を自ら提出します。」と申し出ると、本来の「3倍の過怠税」ではなく、「1.1倍」で済むことが多いようです。事後の発覚なので、「えっ? 1.1倍でいいの?」という感じがしなくもないですが、即刻「3倍!」とされるわけではなさそうです(ケースバイケースですが)

ただし、これは「故意ではないこと」や「理解不足であったこと」などの場合に限り、大目に見てもらえる(容認される)ものでしょうから、毎回調査するたびに発覚したり、悪意があるものについては、1.1倍とはならないと思われます。1度指摘された場合は、2度目はシビアに判断されるものと覚悟しておく必要はありそうですね。

ちなみに、印紙税の調査は、原則的に「税理士が立ち会い出来ない」ことになっています(印紙税は税理士の対象税目ではない)。税務署にお願いすると、同席が認められることもあるそうですが・・・。いずれにしましても、経営者自らが 普段から課税文書の管理をしっかり行う ようにしておくといいですね。