決算対策で節税 – 固定資産税

節税対策&ヒント

仕訳例① (納付書到着時に全額損金算入)

“仕訳例 ①” では、「納付書が到着した時点で全額損金に算入するケース」の場合の仕訳方法をご説明します。

固定資産税は、「租税公課」の科目で費用計上します。未払い分については、未払費用(未払金、あるいは未払税金)の科目を使用します。

なお、「未払法人税等」や「未払事業税等」の科目は、法人税・法人住民税・法人事業税の未払額を処理する科目ですので、使用できません。

・固定資産税(10万円)の納税通知書が届いた(全額損金算入)。

 (借 方)  (貸 方)
租税公課 100,000 未払費用(未払金) 100,000

 


・固定資産税の第1期分を納付した。

 (借 方)  (貸 方)
未払費用(未払金) 25,000 普通預金(現金) 25,000

固定資産税の第1期分を納付する場合は、既に計上した未払費用(未払金、未払税金)を取り崩して、相手科目を現預金で処理します。2期分以降も、実際に納付するたびに同様の仕訳をします。

 


・固定資産税の第2期分以降の納付は、1期分と同様の仕訳処理を行います。

 (借 方)  (貸 方)
未払費用(未払金) 25,000 普通預金(現金) 25,000

仕訳例② (1回目の納付時に全額損金算入)

納付書が到着した日までいちいちチェックしていない場合などは、第1回目の納付時に「残りの未払い分」も含め 一括して全額損金算入する という方法を採るのがベターですね。「納付書到着の時期」と「会計期末」とが同時期でない会社でしたら、この仕訳が一番現実的な方法ともいえます。


・固定資産税(10万円)の納税通知書が届いた。

 (借 方)  (貸 方)
(仕訳なし)

 


・固定資産税の第1期分を納付した(1回目の納付時に全額損金算入)。

 

 (借 方)  (貸 方)
租税公課 100,000 普通預金(現金) 25,000
未払費用(未払金) 75,000

「賦課決定のあった日」の法的解釈について

固定資産税などの税金の「賦課決定のあった日」を “いつ” と定めるかについて、その解釈の仕方について少しご説明します。

民法97条において、「隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。」 と規定しています。この考え方を「到達主義」といいます。

つまり、「賦課決定のあった日」とは、この到達主義の考えに基づき、賦課決定書の到達日(納税通知書が届いた日)であるとされています。

地方税法20条4項においても、 「通常の取扱いによる郵便又は信書便によって第一項に規定する書類を発送した場合には、この法律に特別の定めがある場合を除き、その郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律第二条第三項 に規定する信書便物は、通常到達すべきであった時に送達があったものと推定する。」 と規定されています。

また、納税通知書が届くことにより、金額が明らかになるため、「決算対策で節税 – 未払費用」のページでもお話しした「債務確定基準」の要件も満たすことになります。

余談ですが、3月決算の会社が(納税通知書が届く前に)1~3月分の固定資産税の見積もり額を月額で按分して計上する、という処理をした場合、この見積もり計上分は 損金となりません(損金不算入)。

固定資産税は、1月1日時点の所有者に対して課税されるのですが、この日はあくまでも「所有者を特定した日」であって、「税額を計算した日」ではありません。

この「1月1日」という日付に注目しすぎて、「1月から費用計上(未払計上)できる」と誤解されている方が一部いるようですので、そのようなネットの書き込みに惑わされないようご注意ください。