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  決算対策で節税 - 固定資産税を未払計上する
1. 納税通知書が届いたら、全額損金算入可能!
2. 分割納付額のみを損金算入してもいいが・・・。
3. 「賦課課税方式の租税」 は他にもあります!
4. 仕訳の流れ ① (納付書到着時に全額損金算入するケース)
5. 仕訳の流れ ② (1回目の納付時に全額損金算入するケース)
6. 「賦課決定のあった日」 の法的解釈について


  1.納税通知書が届いたら、全額損金算入可能!  

 固定資産税の納税通知書(賦課決定通知書)は、毎年4月ごろに市町村役場から送付されてきます。納付期限が4月、7月、12月、2月(東京都は、6月、9月、12月、2月)の4期分に分割されているため、一般的には(口座引き落としで)分割して納付する会社が多いかと思います。

 固定資産税をはじめとする「賦課課税方式の租税」(税務官庁の賦課決定によって納付すべき税額が確定する方式の税金)の損金算入時期は、法人税法基本通達で、以下のように明記されており(法人税基本通達9-5-1)、 「賦課決定のあった日の属する事業年度」に全額を損金算入できる(①の処理が可能)とされています。

賦課決定のあった日(納税通知のあった日)の属する事業年度
 (⇒ 賦課決定のあった事業年度) …税務上の原則的な処理方法!
ただし、法人がその納付すべき税額について、納期の開始の日(納期が分割して定められている場合には、それぞれの納期の開始の日)の属する事業年度
 (⇒ 納期の開始日の事業年度)
又は実際に納付した日の属する事業年度において損金経理をした場合には、当該事業年度
 (⇒ 実際に納付した日の事業年度)

 ①の「賦課決定のあった日」とは、「固定資産の所有者に対して、市町村役場から固定資産の所有者に通知した日(通知書が届いた日)」を指します。つまり、4月頃に固定資産税の納税通知書(あるいは納付書)が手元に届いた日を含む当該事業年度内に全額を損金に算入することが可能です。

 例えば、10月決算の会社が4月と7月の2期分を納付していて、12月 と 2月 の分が未納になっていても、この残りの2期分についても、「 (借方)租税公課 / (貸方)未払費用 」の仕訳処理を行い、全額を当期の経費に計上できます。“税金の納付” を活用して節税しましょう(毎期適用を行った場合、最初の事業年度に節税の効果が得られます)

参考リンク: 国税庁 「法人税法基本通達9-5-1 (第5節 租税公課等 - 第1款 租税)


  2.分割納付額のみを損金に算入してもいいが・・・。  

 ちなみに、分割納付する場合は、②の 「納期の開始の日の属する事業年度」 や③の 「実際に納付した日の属する事業年度」 のように、分割納付額のみを損金に計上する方法を採用してもOKです。しかし、やはり節税のことを考えるのであれば、原則的な処理方法でもある ① を選択し、賦課決定のあった日に(もしくは、第1期の納付時にまとめて)全額損金算入するのがベストです。

 納付書到着時 や 第1期の納付時 などに全額を費用計上(損金算入)しなかった、あるいは処理し忘れた場合 などは、期末(決算日)に未払い分の損金算入を検討するのもいいですね。

 ただし、全額損金算入を採用した場合、翌期以降も継続適用するようにしましょう。期によって計上したり、しなかったりというのは、「継続性の原則」に準拠しませんので、税務調査時に指摘される可能性が高くなります(コロコロ変えるのは、利益操作とみなされかねません)。


  3.「賦課課税方式の租税」 は、他にもあります!  

 冒頭でもお話ししましたが、「賦課課税方式の租税」とは、税務官庁の賦課決定によって納付すべき税額が確定する方式の税金のことをいいます。この税金であれば、納税通知書が送られてきた時点で、(実際の納付の有無にかかわらず)全額を当該事業年度の損金に算入できます。

 賦課課税方式の租税は、固定資産税のほかに、不動産取得税自動車税都市計画税などがあります。税務署や都道府県庁、市町村役場から送付されてくるこれらの納税通知書については、手元に届いた時点で全額軽費に計上できますので、実際に(分割納付等の)支払時期が到来していなくても、全額を経費に計上(未払計上)しておきましょう。


  4.仕訳の流れ ① (納付書到着時に全額損金算入するケース)  

 「納付書が到着した時点で全額損金に計上するケース」の仕訳方法をご説明します。固定資産税は、「租税公課」の科目で費用計上します。未払い分については、未払費用(未払金、あるいは未払税金)の科目を使用します。なお、「未払法人税等」や「未払事業税等」の科目は、法人税・法人住民税・法人事業税の未払額を処理する科目ですので、使用できません。


 固定資産税(10万円)の納税通知書が届いた(全額損金算入)。
  ( 借 方 )   ( 貸 方 )
租税公課 100,000 未払費用(未払金) 100,000

 
 固定資産税の第1期分を納付した。
  ( 借 方 )   ( 貸 方 )
未払費用(未払金) 25,000 普通預金(現金) 25,000
 固定資産税の第1期分を納付する場合は、既に計上した未払費用(未払金、未払税金)を取り崩して、相手科目を現預金で処理します。2期分以降も、実際に納付するたびに同様の仕訳をします。







 
 固定資産税の第2期分以降の納付は、1期分と同様の仕訳処理を行います。
  ( 借 方 )   ( 貸 方 )
未払費用(未払金) 25,000 普通預金(現金) 25,000


  5.仕訳の流れ ② (1回目の納付時に全額損金算入するケース)  

 納付書が到着した日までいちいちチェックしていない場合などは、第1回目の納付時に「残りの未払い分」も含め 一括して全額損金算入する という方法を採るのがベターですね。「納付書到着の時期」と「会計期末」とが同時期でない会社でしたら、この仕訳が一番現実的な方法ともいえます。


 固定資産税(10万円)の納税通知書が届いた。
  ( 借 方 )   ( 貸 方 )
(仕訳なし)

 
 固定資産税の第1期分を納付した(1回目の納付時に全額損金算入)。
  ( 借 方 )   ( 貸 方 )
租税公課 100,000 普通預金(預金) 25,000
未払費用(未払金) 75,000


  6.「賦課決定のあった日」 の法的解釈について  

 民法97条で、 「隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。」 と規定しています。この考え方を「到達主義」といいます。つまり、「賦課決定のあった日」とは、この到達主義の考えに基づき、賦課決定書の到達日(納税通知書が届いた日)であるとされています。


 地方税法20条4項においても、 「通常の取扱いによる郵便又は信書便によって第一項に規定する書類を発送した場合には、この法律に特別の定めがある場合を除き、その郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律第二条第三項 に規定する信書便物は、通常到達すべきであった時に送達があったものと推定する。」 と規定されています。

 また、納税通知書が届くことにより、金額が明らかになるため、「決算対策で節税 (1) - 未払費用を拾い出して節税!」のページでもお話しした「債務確定基準」の要件も満たすことになります。

 余談ですが、3月決算の会社が(納税通知書が届く前に)1~3月分の固定資産税の見積もり額を月額で按分して計上する、という処理をした場合、この見積もり計上分は 損金となりません(損金不算入)。固定資産税は、1月1日時点の所有者に対して課税されるのですが、この日はあくまでも「所有者を特定した日」であって、「税額を計算した日」ではありません。この「1月1日」という日付に注目しすぎて、「1月から費用計上(未払計上)できる」と誤解されている方が一部いるようですので、そのようなネットの書き込みに惑わされないようご注意ください。