通勤手当は所得税が非課税! (給料手当・福利厚生費等)

会計・経理処理

通勤手当は 所得税が「非課税」です

役員・従業員に支給する通勤手当(通勤費)は、「給料手当」「福利厚生費」「旅費交通費」などの勘定科目を使用して “費用計上” できます。

そして、受け取った側も、一定限度額までは非課税(所得税の非課税)となっています。つまり、「所得税がかからない人件費」的な扱いのものになります。

正社員だけでなく、パート・アルバイトの通勤手当も対象となります。ただし、上限額を超えたものは、「給与所得」と見なされ、超過分には所得税が課税されます。

市区町村から徴収される市県民税(市民税・県民税)も、この所得税の扱いに準じて「非課税」となります。

なお、通勤手当(通勤費)につき、「給料手当」「福利厚生費」「旅費交通費」など、どの勘定科目を使うべきかという点については、円滑・正確な会計処理とするべく、顧問税理士さん(や税務署)の指示に従って決めるようにした方がベターです。

「マイカー・自転車」の場合

マイカー・自転車の場合(交通用具を使用する場合)、下表のとおり、通勤距離に応じて「一定の限度額」まで非課税となっています。通勤距離とは、通勤経路に沿った長さ(実際に通行する道路の長さ)を指します。

例えば、片道 2km 以上 ~ 10km 未満であれば、1カ月当たりの金額 4,200円 までが非課税となります(片道 2km 未満の通勤費は全額課税対象)。この限度額を超える金額を支給する場合は、超えた額については給与とみなされ、所得税が課されます。

なお、本法令は、平成26年10月に改正され、(所得税の)非課税限度額が引き上げられました。平成26年4月1日以後に支払われるべき通勤手当について、以下の金額が適用されます(令和元年 現在も変更ありません)

【 通勤費が 非課税 となるための条件: マイカー・自転車 】

片道の
通勤距離
1カ月当たりの
非課税限度額
2km未満 (全額課税) 
2km以上 10km未満 4,200円 
10km以上 15km未満 7,100円 
15km以上 25km未満 12,900円 
25km以上 35km未満 18,700円 
35km以上 45km未満 24,400円 
45km以上 55km未満 28,000円 
55km以上 31,600円 
交通機関又は有料道路を利用している人に支給する通勤手当 150,000円

マイカー通勤者の場合、実際にかかるガソリン代を目安にして、マイカー通勤の非課税限度額に合わせて通勤費を決定する、というのが一般的な方法です。

自転車通勤の場合、非課税枠が2km~10km未満で 4,200 円あるからといって、必ずしもその金額を支給しなければいけないというものではありません。

ただし、駐輪場代、雨の日の電車賃、自転車の部品代・修理代なども考慮し、マイカー通勤相当の手当を支給するというのが妥当な考え方だと思われます。

なお、マイカー通勤で有料道路も利用している場合、有料道路の実費分(通勤割引などがある場合は、その金額)につき、上表の「距離に応じた限度額」と合わせ、1カ月当たり 15万円 まで非課税となります(両方を合わせて15万円が限度)。

有料道路を通勤費とする場合は、有料道路の利用が合理的であること(通勤時間の短縮等のメリットがあること)、また実際にその従業員が有料道路を利用していることが条件となります。つまり、「高速道路を使う必要性があって、実際に毎回利用している」ということですね。もし、税務調査で実際に利用していないことが判明すれば、所得税等の課税対象となります。

例: 通勤距離 片道30km、有料道路 片道1,000円(割引後料金)の場合
18,700円+1,000円×往復2回×22日=62,700円 が非課税限度額となります。

[ 参考リンク ]

「電車・バス」の場合

電車・バス(交通機関)通勤者は、通勤定期券の金額が非課税となりますが、上限が1カ月当たり 15万円 までと定められています(例えば、3か月の定期券なら、月換算して上限金額を判断します)

通勤定期券の金額は、「通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の金額」とされています。

新幹線を利用した場合の運賃も「経済的かつ合理的な方法による金額」に含まれますが、グリーン車の料金は含まれませんので、ご注意ください。なお、上限金額を超えた額については、給与とみなされ、所得税が課されます。

ちなみに、前出の「マイカー・自転車」(交通遊具)、有料道路、電車(交通機関)の全てを利用して通勤している場合は、全ての金額を合計した金額が「(所得税) 非課税の通勤費」として認められます。ただし、最高で15万円が限度となります。

[ 参考リンク ]