決算対策で節税 – 社会保険料

節税対策&ヒント

賞与の社会保険料は納付後に計上可

前述のとおり、会社負担の社会保険(健康保険料、厚生年金保険料)は、納付義務の確定した日の属する事業年度の損金に算入することができます。

ただし、賞与に対応した社会保険料の扱いは、少し注意が必要です。すなわち、「賞与にかかる社会保険料についても、支払った月でないと確定しない」 ( ⇒ 賞与にかかる社会保険料は、納付後でないと計上できない)という点です。

社会保険料は、対象月の末日で支払義務が確定しますので、賞与にかかる社会保険料についても、給与対象分と同様に、賞与を支払った月の末日でないと未払計上(損金算入)できませんので、ご注意ください。

賞与を6月と12月に支給するなら、6月末か12月末でないと未払計上できないということですね。3月決算だからといって1・2・3月の賞与相当分の社会保険料を月按分で未払計上しないでください、ということです。

役員賞与にかかる社会保険料について

役員への報酬は、「役員報酬の種類 (1) – 定期同額給与」等でもお話ししましたが、「定期同額給与」「事前確定届出給与」など、”毎月決まった額の役員給与” か、”事前に税務署へ届け出た役員給与” しか認められておらず、決算後の株主総会等で決定した「役員賞与」は損金に算入できません(経費に計上できません)

確かに、役員賞与自体は損金として認められないのですが、一方で 役員員賞与にかかる社会保険料(会社負担分)は、法定福利費として損金に算入できます。「えっ、そうなの??」という感じがしなくもないですが、とにかく賞与本体とは異なる扱いとなります。

「役員賞与にかかる社会保険料」のお話は、今までお話ししてきた「未払計上」の話題からは少しズレてしまいますが、予備知識として 頭の片隅にでも置いておくといいですね

労働保険料の取り扱いについて

なお、もう1つの社会保険である労働保険料(労災保険料、雇用保険料)については、保険年度の初め(4~5月)に昨年の実績に基づいて概算保険料額を算出し、6月1日~7月10日までにに申告(納付)することになっています(※)。そして、翌年度初めに過不足額を精算(確定保険料額を納付)します。

法人税法上では、労働保険料については、概算保険料&確定保険料の納付時の損金算入が認められています法人税基本通達 9-3-3)。つまり、期間損益に対応した損金経理を要求していません。細かいことは要求しないので、(前払いで)納付した額をそのまま費用計上していいですよ、ということですね。仕訳処理等については、前払費用などの科目を使用するため、別途 機会を改めてご説明したいと思います。

(※)概算保険料額については、原則的に40万円以上の場合、もしくは労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合には、納付を3回に分割することができます。