福利厚生費で節税 – 慶弔見舞金

節税対策&ヒント

役員・従業員の家族にも支給可能

慶弔見舞金は、役員や従業員だけでなく、役員・従業員の「家族」にも支給することができます(家族のお祝いに対しても支給できます)。ご家族のお子さんの結婚祝い、奥様やお子様の傷病見舞金、ご家族の弔慰金(香典)など、目的に合わせて支給が可能です。

なお、支給対象者が役員・従業員本人でない場合は、役員・従業員よりも金額を少なくするのが一般的です。

支給額の基準:その他のポイント


支給は、役員・従業員ともに不公平の無いような基準を設けるようにしましょう。極端な例ですが、例えば役員の家族に誕生祝いを支給していながら、(自分とは親戚関係にない)従業員の家族の誕生祝いを支給しないのは、税務上も道徳的にも完全にアウトです。

社長子息の結婚祝いだけ多く支給するのもアウトです。経営者一族だけがオイシイ思いをするような偏った福利厚生とならないよう、心がけましょう。


1人会社など、社員が同族(家族)のみで構成されている場合は、税務調査で「お手盛りの賞与(=自分の都合の良いように決めている賞与)」とみなされかねないため、「誕生祝い金」、「創立祝い金」、「その他の祝い金」などのような「(社長自身のための)ゆるめ&甘めの祝い金」はなるべく設定しないなど、厳格な運用をするように心がけた方が無難です。


また、男性3万円、女性2万円といった「性別のみによる区別」は、男女雇用機会均等法違反となりますので、公平性を保つようにしましょう。

「○○ハラスメント」とならないような公平な基準作りとなるように心がけましょう。なお、「会社への貢献度の度合い」という観点から、勤続年数や役職で 金額の区別 をすることは、問題ありません。


慶弔見舞金は、あくまでも福利厚生の一環ですので、会社経営に支障の出ない金額に設定しておく方が無難です。

また、災害見舞金の金額については、会社周辺での地震による被災の場合、社員の大半が被災することになり、加えて会社再建費用も必要とする中、予想以上に資金負担が重くなる場合があります。

このため、見舞金の金額の明示は避け、被災時の状況に応じ、その都度委員会など設置して決定するという方法を採用するのも一案かと思われます。


兄弟や親子で会社に勤務している従業員がいる場合、香典等の重複支給を避けるため、(経理担当者の混乱を避けるべく)規程の終わりの方に「重複支給の禁止」の条文を付け加えておいても良いと思います(下記ひな形参照。不要であれば、削除して構いません)

会社加入の保険金から支給する際の注意点

「従業員の傷病時に備えるべく会社が保険に加入している場合」に注意すべき点があります。例えば、従業員が病気等で入院し、保険会社から 10万円 の保険金を受け取ったとします。

その一方で、社内の「慶弔見舞金規程」で傷病手当金を 3万円 に設定していた場合、規程通りに3万円を支給するのなら問題ないのですが、従業員の見舞金として「保険金全額の10万円」を従業員に支給すると、差額の7万円(規程の額を超過した金額の支給)は 傷病手当金(経費)として税務上認められず、「従業員賞与の支給」とみなされる可能性があります。

すなわち、税務上においては、保険金の受取額(10万円)は 単なる益金の計上 (雑収入・雑所得)であり、福利厚生費として損金計上する傷病手当金(見舞金 3万円)とは「別の取引行為」であるとされているということです。

保険金を受け取ったからといって、その全額を従業員に支給するのではなく、 「見舞金は 慶弔見舞金規程 にしたがって支給してくださいね」 ということです。両者は「ひも付きの関係」にはなっていませんので、経理処理を行う際はご注意ください。