福利厚生費を活用して節税しよう!

節税対策&ヒント

本ページでは、福利厚生費の意味(定義)や、同費用として認められるための条件などについて解説しています。通勤費、健康診断、食事補助、慶弔見舞金など、色々なものがこれに該当します。節税効果だけでなく、従業員の士気向上にもつながりますので、税務上の基準を理解して是非活用したいですね。

福利厚生費を活用して節税しよう!

「福利厚生費」は、会社にとって経費となるだけでなく、恩恵を受ける従業員&役員にとっても非課税(所得税 非課税)となるものです。

つまり、「法人の経費計上 → 可能!」&「個人の所得税 → 非課税!」となり、ダブルで恩恵を受けるモノです。該当する費用があるなら、従業員の労働意欲維持、士気向上、人材確保のためにも、是非活用したいですね。

福利厚生費とは、「役員・従業員の福利厚生を目的として、給料・交際費以外の間接的給付を行うための費用科目」をいいます。一部の従業員ではなく、原則として全員に平等に支出する目的であることが求められます。

福利厚生費として認められる主なものとしては、通勤手当食事補助健康診断の費用慶弔見舞金(結婚祝い金、出産祝い金、病気見舞金、香典)、社宅家賃、慰安旅行 (社員旅行)、運動会、演芸会、同好会の補助・・・などが挙げられます。

余談ですが、少し名前の違う「法定福利費」は、会社が負担すべき『役員・従業員のための公的な保険料』などを処理する科目になります。つまり、法で定められた福利費ということですね。例えば、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)や、労働保険料などの 法人負担分 などがこれに該当します。

同じ「福利」という名前がついていますが、混同しないように気を付けましょう(福利厚生費は、法律によって義務付けられていない & 会社が独自に行う 「法定外福利費」 ということになります)

福利厚生費と認められるための条件

福利厚生費として認められるためには、「社内規程の作成」と「金額の決定」をおこなっておく必要があります。すなわち、あらかじめ社内で決めた「規程」に基づき、規程に明記された「金額」の範囲内で支出することが求められます。

税務調査では、「福利厚生費の社内規程(及び金額)」は、必ず確認される項目となります。この事前準備を怠っていると、調査で指摘を受け、福利厚生費として認められなくなりますので、ご注意ください。

なお、(全社員ではなく、)一部の社員のみに提供されたものは、「提供を受けた個人への給与」とみなされ、個人の所得税の課税対象となりますので、ご注意ください。

【 福利厚生費として認定されるための条件 】

事前に福利厚生費の社内規程を作成・整備していること
その規定の中に金額が明示されていること
金額は、社会通念に照らして相当(妥当)と認められる範囲内であること
基本的に全員に提供される目的のものであること
(慰安旅行の場合、各工場・支店等の従業員が50%以上が参加すること)

また、「金額」も大変重要です。金額の基準は、明確かつ客観的な基準が決められているわけではありませんが、「社会通念に照らして相当と認められる範囲内」ということになります。・・・うーん、わかりづらいですね。

この「社会通念」というフレーズは、税務署問い合わせや税務調査などで よく耳にする言葉です。ポイントは、「金額が常識の範囲内か?」ということと、「税務調査に来た調査官に合理的に説明できるか?」ということです。

「ファーストクラスを使用して、宿泊先で毎日 1人2万円 の高級ディナーを堪能する海外旅行」などといった『ゴージャスすぎる社員旅行(慰安旅行)』は当然否認されますし、また、「調査官にしっかりと福利厚生目的の費用であることを説明できないようなシロモノ」も、否認されますので、ご注意ください。

法人・確定申告書の「税理士署名欄」に税理士の記名押印があれば、税理士が「社会通念に照らして福利厚生費が妥当かどうかをチェックしている」という判断材料にもなり、福利厚生費の信用度はそれなりに増します。

しかし、税理士を利用しないで作成した確定申告書(記名押印がない申告書)の場合、税務調査官に重点的にチェックされる可能性がありますので、しっかりと説明できるように資料を残しておくことをお勧めします。