福利厚生費で節税 – 健康診断の費用

節税対策&ヒント

「一人会社」 社長の健康診断はOKか?

基本的に、事業主(経営者、役員)に福利厚生費という概念はありません。このため、会社の社員(役員)が「社長一人」の場合や、「社長&妻の二人だけ」の場合の健康診断の費用については、一般的に福利厚生費として認められないことも多いようです。ただし、これはケースバイケースのようですので、全く認められないというわけでもありません

「一人会社」等の場合で、税務署に福利厚生費と認定してもらうためには、将来的に従業員を雇い入れることを想定した「就業規則(健康診断の規定)」を作成するなど、客観的にみて(健康診断の導入は)妥当だと判断できるようなルール作りをして、その上で個別に税務署の窓口で(書類持参の上)問い合わせをすると、認められる可能性も高くなると思われます。

ただし、事前の問い合わせでOKと回答されても、税務調査時の実態調査で再度判断されることもあり得ますので、適切な運用を心掛けることが必要です。

この件について税務署に問い合わせたところ、電話相談センター(電話相談窓口)では 「一般的な回答は難しいので、担当税務署に確認してほしい」とのことで、明確な回答は得られませんでした。また、所轄の税務署の担当者は、「個別に状況を確認して、その上で署内で検討が必要」とのことでした。

健康診断は毎年のことですので、経費になるかならないかで、年々金銭的差額が大きくなってきますね。「一人会社」だからといって早合点してあきらめず、社内のルール作りに取り組んで、準備が整ったら税務署に問い合わせてみるのもいいかもしれません。

なお、法人で社会保険に加入している場合、毎年3月末~4月初旬に 全国健康保険協会(協会けんぽ)から「健診のご案内」が送付されてきます。これを利用すれば、健診費用は3割負担で済みますので、(福利厚生費に該当する・しないにかかわらず)積極的に活用したいですね。

嘱託医による健康診断は「給与」に該当

近隣の医院と嘱託医の契約をして、定期的に診療報酬を支払うケースなどは、健康診断(福利厚生費)ではなく、給与の支給に該当します。診療報酬の支払い時に(給与と同様に)源泉徴収をする必要がありますので、ご注意ください。

健康増進のため健康診断を導入しよう!

本項におきまして、税法的な観点から 健康診断の費用計上の可否のお話をしましたが、そもそも健康診断は、労働者の健康保持・増進の観点から、会社は健康診断を実施する義務があり社員は健康診断を受診する義務があると法律で定められています(労働安全衛生法 第66条)。

一般的には、雇入れ時健康診断、定期健康診断、深夜業に関する特定健康診断などがあります。社会保険に加入する法人であれば、一般的な健診なら 3割負担の約 7千円 で済みます。従業員がいる会社の場合は、健康診断を福利厚生のひとつに組み入れることをおすすめします。