福利厚生費で節税 – 健康診断の費用

節税対策&ヒント

要件③: 会社から直接支払われていること

健康診断の費用は、会社が診療機関(医療機関)に直接支払う必要があります。会社が従業員に現金を渡し、社員がそのお金で支払った場合には、経費として認められず、給与課税されます。

また、健診費用を従業員が立て替えて、会社が後で現金を支給するようなケースも経費として認められませんので、注意が必要です。

就業規則 に健康診断の事項を記載しよう

健康診断についての基本的な事項は、「就業規則」に記載します。「入社時 あるいは 年一回の健康診断を受診しなくてはならない」などの基本的事項を記載しますが、具体的な書き方については、厚生労働省が「モデル就業規則」(PDF / Word)を公開していますので(第9章 第54条PDFファイル)、ご確認ください。

税務調査では、健康診断の実施のルールについて、就業規則等に書かれているかどうかをチェックする場合もあります。健診の申し込み用紙、領収書、健診結果の種類などを保管(5年間)するだけでなく、就業規則等を作成して、実施基準を明記しておくことが大切ですね。

ちなみに、労働基準法では、社員数10人以上の会社に就業規則の作成を義務付けています(就業規則がない場合は、労働基準法がそのまま適用されます)

10人未満の会社で、今すぐ就業規則を作るのが大変な場合は、取り急ぎ「健康診断の規程(健康管理規程など)」などを作成し(次項参照)、健診のルール作りをしておくといいですね。

就業規則を作成して備えておくことにより、健康診断のみならず、労働条件や服務規律(勤務のルール)などにおいても相応のメリットを享受できますので、時間を見て作成することをおすすめします。

「健康診断の規程」 を作成し柔軟に対応!

前ページの「要件①」の項目で 「40歳未満は定期健診、40歳以上は人間ドックによる健診」といった、年齢などに応じた区分を設けることも可能だということをお伝えしましたが、その区分があいまいだったり、毎年コロコロと年齢の基準が変わったりすると、税務調査時に「損金否認&給与課税」(会社の経費として認められない & 従業員への給与支給とみなされる)されかねません。

このため、就業規則(基本的な規則)に健康診断の基本的事項を記載するだけでは補えないような場合は、健康診断の規程(具体的なルール / 規定)を作成して色々な取り決め事項を設定すると、柔軟に対応しやすくなります(名称は、健康管理規程、健康診断実施規程、健康診断規程など。あるいは 安全衛生管理規程の一部に記載するなど)

「社内規程(規定)を作るなんて面倒だなあ」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、会社の実情に合わせてオリジナルの規程を作っておけば、それで済みます。

基本的事項、金額、年齢条件(勤務年数の条件)、半日有給休暇取得の有無、会社指定の診療機関で受診といった具体的な取り決め事項を書いておくとわかりやすいですね。詳細な内容を盛り込まない場合、前出の「就業規則」のみで対応すればよいと思います。

つまり、(社員のためのルールとして作成するのはもちろんですが)税務調査の際に健康診断の実施状況をすぐに説明・対処できるようにするためにも作成しておけば、「損金否認」(=経費として認められない)などのトラブルも回避しやすくなります。ひと手間かけるのが節税のポイントですね。