「(間接)有限責任」とは
株式会社 や 合同会社 などで耳にする「間接有限責任(有限責任社員)」とは、出資者(株主)が拠出した範囲内において限定的に責任を負うにとどまるということを意味しています。
つまり、会社が倒産したときなどは、会社債権者等に対して発行済み株式や企業が保有する資産の範囲内で責任を負えば済むというものです。
言い換えると、株式価値がゼロになるなどの間接的かつ有限的な損害を受けることによる「無限の責任を負うリスクを回避できる」というものなのです。
上場企業の倒産時に、個人投資家の保有する株式価値がゼロ円になってしまい、同人(投資家)の責任はそれだけで済むことを考えればわかりやすいでしょう。
また、「会社が成長すれば株価上昇や配当の儲けが出る。仮に会社が倒産しても拠出したお金を失うだけで済む(限定的なリスクを負うだけで済む)。」ということであれば、出資者の出資意欲も高まり、会社としても出資者からの資金調達が容易になります。
社長の経営責任は「有限」となりうるか
しかし、非上場の中小・零細株式会社の場合、株主=経営者である場合が多いので、こんなにすんなりとはいきません。
会社が倒産すれば、銀行等に担保提供している会社事務所や社長自宅などが差し押さえられる(強制的に売りに出されたり、売れなければ競売にかけられたりして、失ってしまう)のはもちろんのこと、(借入金の)連帯保証人である社長の保有する「換金性の高い金融商品(上場企業の株や社債)」や「社長個人の現預金」なども持っていかれます。
仮に銀行以外(倒産寸前に街金・サラ金から借りるなど)からも借りていれば、血の一滴まで絞り取られますので、「有限責任」という言葉はむなしく響くばかりです(中小の株式/有限会社は、事実上、無限に責任を問われます)。余談ですが。
ただし、訴訟を起こされた場合の経営者個人に対する賠償上のリスクは、「経営者が無限責任社員となっている合名・合資会社」や「個人事業主」よりも、幾分かは下がるものと思われます(具体的にどれくらい下がるとは明言できませんが)。