個人事業:開業時の提出書類 (2) ~従業員雇用の場合

個人事業の開業

個人事業主として「従業員を雇用する場合」は、以下の書類を提出する必要があります。主に税務&労働保険関係の書類の提出になります。

従業員雇用:税務署への提出書類

開業時に限らず、事業主が「従業員」を雇う場合は、税務署に以下の書類を提出する必要があります。なお、「源泉所得税の納期特例の承認に関する届出書」を提出すると、従業員から徴収して納める源泉所得税を年2回の納付で済ませることが出来ますので、雇用した際は是非提出しておきましょう。

(1) 給与支払事務所等の開設等届出書

(2) 源泉所得税の納期特例の承認に関する届出書

(3) 青色事業専従者給与に関する届出書

従業員雇用:労働保険関連の書類

個人事業主が従業員を雇用する場合(1人でも雇っている場合)は、「労働保険」関係の届け出をする義務がありますので、併せて提出しましょう。労働保険とは、「労災保険」と「雇用保険」を合わせた総称をいいます。

労災保険は、勤務時間中などに怪我や病気になった際、従業員や遺族に保険給付を行うものです。労働基準監督署で手続きを行います。雇用保険は、従業員が失業したときに失業手当を給付するもので、ハローワーク(公共職業安定所)で手続きを行います。以下に各部署への提出書類と添付書類を記載しました。

【 労働基準監督署への提出書類 】

(1) (労働保険) 保険関係成立届

(2) (労働保険) 概算保険料申告書

また、以下の書類を添付書類として提出します。

(1) 代表者の住民票

  • 個人事業主の場合、代表者の住民票を添付(法人の場合は登記簿謄本)

【 ハローワーク (公共職業安定所) への提出書類 】
従業員を雇用する場合(1人でも雇っている場合)は、以下の書類をハローワークに提出する必要があります。忘れずに出しておきましょう。

(1) 雇用保険適用事業所設置届 (事業所設置届)

(2) 雇用保険被保険者資格取得届

また、以下の書類を添付書類として提出しますが、実際に必要な添付書類は、ハローワークに個別に確認を取るようにしてください。個人事業主の「住民票の写し」は提出を求められることが多いようです。

(1) 労働保険関係成立届の事業主控え (写し)

  • 労働基準監督署受理済みのものを提出。

(2) 事業所の実在、事業の種類、事業開始年月日、事業経営の状況、他の社会保険の加入状況を証明することができる書類

  • ①事業許可証、②工事契約書、③賃貸契約書(事業所が賃貸の場合)、④源泉徴収簿、⑤他の社会保険の適用関係書類等のいずれか確認できる書類を添付。
    (なお、必要に応じて、公共料金等の請求書又は領収書、税務関係書類、事業主の世帯全員の住民票の写しのいずれかの書類が必要となります。)

(3) 労働者の雇用実態、賃金の支払いの状況等を証明できる次の書類

  • ①労働者名簿、②賃金台帳(雇い入れから現在まで)、③出勤簿又はタイムカード(雇い入れから現在まで)、④雇用契約書(有期契約労働者の場合)

[参考] 労働保険の加入条件・概要

労働保険を構成する「労災保険」と「雇用保険」の両保険制度は、別個の扱いとなっていますが、実際の保険料の納付等については一体のものとして取り扱われ、「労働保険料」として一括納付します。

計算方法は、「給与×(労災保険料率+雇用保険料率)=労働保険料」となります。労災保険料は、全額事業主が負担します(保険料率は業種により異なる)。雇用保険料は、一般の事業の場合、事業主の雇用保険料率(給与に掛ける料率)は 1,000分の6従業員の雇用保険料率は 1,000分の3となります。

労災保険 雇用保険
窓口 労働基準監督署 ハローワーク
適用
条件
従業員1人でも雇用する場合は加入義務あり 以下の2条件を満たす場合は加入義務あり
① 31日以上の雇用見込みがある場合
② 1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者がいる場合
加入の
目的
業務災害及び通勤災害にあった労働者又はその遺族を保護するために給付を行う制度(業務中&通勤中のケガ、病気、死亡など) 労働者が失業した場合や労働者の雇用継続が困難となる事由(育児・介護等)が生じた場合に必要な給付を行う制度
(「失業手当」の給付など)
保険料 全額会社負担(事業主負担) 会社(事業主)と従業員が一定割合を負担