帳簿書類(経理)の保存期間

会計・経理処理

中小法人(法人税法上)の帳簿書類の保存期間

「帳簿書類とか、領収書とか、やたら保存書類が増えてきたけれど、いつまで残しておけばいいのか?」という疑問が頭をよぎることもあるかと思います。本ページでは、帳簿書類等の保存期間についておさらいしたいと思います。

帳簿書類とは、帳簿を備え付けてその取引を記録した「帳簿」と、その帳簿と取引等に関して作成又は受領した「書類」とをあわせたものの総称です。この帳簿書類等の保存期間は、会社法では10年、法人税法では7年(確定申告書の提出期限から7年間)となっています。

よく「決算書類の保存期間は7年」という話を耳にしますが、これは法人税法上の保存期間のことを指しています(法人税法施行規則59、67)。

ただし、赤字になって繰越欠損金が出た事業年度の帳簿書類等の(税法上の)保存期間は、

  • 平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度は、帳簿書類の保存期間が9年間
  • 平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度は、帳簿書類の保存期間が10年間

に延長されました。ご注意ください。

平成23年の税制改正より、青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が9年とされたことに伴って、平成20年4月1日以後に終了した「欠損金の生じた事業年度」においては、帳簿書類の保存期間が9年間に延長されました。

また、平成27年度及び平成28年度税制改正で、平成30年(2018年)4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金の繰越期間を10年に延長することになったことに伴い、「平成30年4月1日以後」に開始する「欠損金が生じる事業年度」においては、帳簿書類の保存期間が「10年間」に延長されました。

黒字になったり、赤字になったり・・・を繰り返している会社の場合は、とりあえず「税法上の保存期間は 9年、ただし平成30年(2018年)4月以降は10年」と覚えておけばいいですね。そうすれば、うっかり廃棄といったトラブルも起きずに済みます。

帳簿
書類
帳簿及び書類の具体例 黒字 赤字
(-30/3)
赤字
(30/4-)
帳簿
総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳、経費帳など 7年 9年 10年
決算書類 青色申告決算書(貸借対照表・損益計算書)、棚卸表など 7年 9年 10年
証憑書類 現預金関係書類(領収証、小切手控、預貯金通帳、借用証書など) 7年 9年 10年
有価証券取引書、社債申込書など 7年 9年 10年
請求書、注文申込書、契約書、見積書、手形控、仕入伝票等 7年 9年 10年
納品書、送り状、貨物受領書、入庫報告書、出荷依頼書等 7年 9年 10年

個人事業主の帳簿書類の保存期間

個人事業主(青色申告者)は、法人よりも短く、帳簿&決算書類の保存期間は7年、その他の書類は5年となっています。現金・預金関係の書類については、前々年分所得が300万円以下の個人事業主の場合、保存期間は 5年 と少し短くなっています。

なお、白色申告者(青色申告者以外の方)も同様に、下表のような記帳・帳簿等の保存期間となっています。青色申告と書類の名前は異なりますが、基本的には同じ基準で区分けされていて、帳簿・決算関係は7年、その他の書類は5年に設定されています。

帳簿
書類
帳簿及び書類の具体例 個人
(青色)
帳簿 総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳、経費帳など 7年
決算書類 青色申告決算書(貸借対照表・損益計算書)、棚卸表など 7年
証憑書類 現預金関係書類(領収証、小切手控、預貯金通帳、借用証書など) 5年
[※]
有価証券取引書、社債申込書など 5年
請求書、注文申込書、契約書、見積書、手形控、仕入伝票等 5年
納品書、送り状、貨物受領書、入庫報告書、出荷依頼書等 5年

[※] 前々年分所得が300万円以下の個人事業主の 現預金関係書類の保存期間は 5年。

帳簿
書類
帳簿及び書類の具体例 個人
(白色)
帳簿
収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) 7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) 7年
証憑書類 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 5年
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 5年

[ 参考リンク ]

会社法 上の帳簿書類の保存期間

税法上の保存期間は 7年 (赤字年度は 9年、30年4月以後の赤字年度は 10年) ですが、会社法で定められている保存期間は、10年となっています。

7年とか9年を経過したからといって即座に処分せず、「長い期間に基準を合わせて、とりあえず10年間は保存する」と覚えておくと、わかりやすいですね。

ただし、法人税申告書(決算書を含む)などの重要書類は、会社の歴史を刻んだ書類であり、今後の事業を継続していく上でも参考資料となりうる書類ですので、法令にかかわらず、10年を経過しても保存しておくことをおすすめします。