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  年末調整のポイント (2)
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1. 年末調整とは?
2. 年末調整の対象者
3. 年末調整を行う時期
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4. 年末調整の際に必要な書類
5. 年末調整の計算手順
6. 年末調整では処理できない控除は?


  4.年末調整の際に必要な書類  

 年末調整を行う際は、以下の書類を事前に用意&作成しておきます。
「源泉徴収簿」の作成
「扶養控除等(異動)申告書」の受理と内容の確認
「保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」の受理と内容の確認
「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」の受理確認


【 ① 源泉徴収簿 】
 ①の源泉徴収簿は、年初(1月)に会社で作成し、保管します(経理担当者が源泉徴収事務の処理&計算で使用するものですので、従業員には渡しません)。毎月の給与や社会保険料などを書き込んでいきましょう。年末調整の際には、同用紙の右半分の欄で「年間の所得税額」(年調年税額)を計算します。
 源泉徴収簿

【 ② 扶養控除等(異動)申告書 】
 ②の扶養控除等(異動)申告書は、年の最初(1月)の給与支給日の前日までに(従業員から)提出を受けて、会社に保管しておく必要があります。扶養親族の有無にかかわらず、基本的に全員が提出します(年末調整の対象者参照)。前年の源泉徴収票を従業員に配布する際に一緒に配布し、一定の記載期間を経たら、速やかに提出してもらいましょう(会社で保管します)。年の途中で扶養親族が増えた方は、追加記入してもらいましょう。

 なお、同用紙には、「16歳未満の扶養親族」を記入する欄もあります。国税(所得税)では扶養控除の対象となりませんが住民税の関係で市区町村に報告しなければならず、ここに記載することにより、会社が各市町村に報告することができるため、忘れずに記入してもらいましょう。
 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

【 ③-(1) 保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書 】
 ③の保険料保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書は、一旦会社で保管しておいて、11月に各従業員に配布、12月初旬(年末調整の作業を行う前)には回収しておくのがベターです。11月までの給与明細などからなるべく誤差のないように、きちんと申告してもらうようにしましょう。記載事項は、
(1) 生命保険料控除
(2) 地震保険料控除
(3) (給与天引き以外の)社会保険料控除 (扶養家族の国民年金など)
(4) 小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済の解説はこちら
の4つです。毎年10~11月頃に保険会社から 「生命保険料控除証明書(一般・介護医療用 および 個人年金用)」 や 「地震保険料等控除証明書」が、(役員の場合)中小機構から「小規模企業共済等掛金の払込証明書」 が各個人宛てに送られてきますので、それらの証明書をもとに各役員・従業員に必要事項を記入してもらい(控除額を計算してもらい)、証明書(裏面添付)とともに回収・保管します。

 なお、ご家族の国民年金保険料、例えば20歳を過ぎた大学生のお子さんで、親が国民年金を支払っている場合には、所得控除の対象になります。日本年金機構から 「(ご家族の)国民年金保険料 控除証明書 (H28年) 」 が自宅に送られてきますので、他の書類と一緒に裏面に添付してもらいます。
 保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書

 「生命保険料控除」の項目を抜粋

【 ③-(2) 子ども保険や学資保険も控除の対象です 】
 「子ども保険」や「学資保険」も保険料控除の対象になりますので、お忘れなく。学資保険は、「一般の生命保険料」の欄に記載します(保険等の種類の欄は「学資保険」と記載します)






【 ④ (特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 】
 自宅を建てて住宅ローンを組み、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の適用を受ける場合は、個人で「確定申告」する必要がありますが、初年度で確定申告をすると(※)、2年目以降は「年末調整」の時に控除を受けることが可能です。年末調整の控除対象者には、残りの住宅ローン控除の適用可能年分の「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」が税務署から送られてきます。ローン残高など、必要事項を記入の上、会社に提出してもらいます。
 給与所得者の (特定増改築等) 住宅借入金等特別控除申告書

(※) 住宅ローン控除の適用を受ける(初年度の)確定申告書に添付する「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」の「8 控除証明書の要否」欄の「要する」の文字を丸で囲むと、その年の10月頃に税務署から控除申告書が送付されてきます。


  5.年末調整の計算手順  

 各従業員ごとの年末調整の計算手順は、以下の通りです。前述の「源泉徴収簿」、「扶養控除等(異動)申告書」、「保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」の3つを用意して、計算をスタートしましょう。

所得を合計する
1~12月の給料・手当、賞与等を合算します。
「所得合計額」から「給与所得控除後の給与等の金額」を計算する
年収660万円以下の方は、税務署から配布される「年末調整のしかた」に記載されている「年末調整等のため控除後の給与等の金額の表」から、該当する所得控除後の金額を調べます。660万円超の方は、給与所得控除の算式を使って計算します。
「所得控除額」を計算する
基礎控除、配偶者控除、扶養控除、障害者控除、配偶者特別控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除 など、該当する「所得控除額」をピックアップします。
(所得控除をして)
「差引課税給与所得金額」を計算する
給与所得控除後の給与等の金額-所得控除額=
差引課税給与所得金額
税率を掛けて 「算出年税額」を計算する
所得税の税率を掛けます。
差引課税給与所得金額×税率=算出年税額
「住宅借入金等特別控除額」を控除して、年調所得税額を計算する
「住宅借入金等特別控除額」があれば差し引きます。住宅ローン控除は、初年度は「確定申告」で控除しますが、2年目以降は「年末調整」の時に控除します。
算出年税額-住宅借入控除=年調所得税額
「年調年税額」を計算する
復興特別所得税額 2.1% を加算します。
年調所得税額×102.1%=年調年税額

 これで、各人の年末調整は終わりです。あとは、全員の年調年税額を合算し、過不足額を計算したら、翌年の1月10日までに源泉所得税を(未払い分と合算して)税務署へ納付します(納期の特例を受けている会社は、1月20日までに納付)。



  6.年末調整では処理できない所得控除・税額控除は?  

 なお、「雑損控除」・「医療費控除」・「寄附金控除」の3つの項目の所得控除に加え、初めて適用を受ける住宅ローン控除(初年度の住宅借入金等特別控除)は、年末調整で所得控除できません(逆を言えば、それ以外は年末調整で所得控除できます)。

 いずれの控除も、書類の準備や記入手続きが(年末調整の控除項目よりも)やや複雑であったり、控除の適用を受ける人が一部の人に限られていたり、(あまり人に知られたくないような)個人的な事情を含んだ内容のものだったりします。こういった内容の控除は、「翌年の確定申告の時に、(会社を通さずに)個別に申告してくださいね」ということです。これらの「確定申告特有の控除」については、本ページの年末調整とは関係ないため、概略のみお伝えします。

【 雑損控除 】
 「雑損控除」は、家・家財・お金などの生活に必要な財産が、災害、盗難等の被害に遭った時に受けられる控除です。家が火災に遭って焼失した時などもこれに該当します。あまり受けたくない控除ですね。雑損控除として控除できる金額は、次の二つのうちいずれか多い方の金額です。
(1) (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
(2) (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

【 医療費控除 】
 「医療費控除」は、本人又は本人と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合に受けられる所得控除です。生命保険に入っていてもカバーできない医療費がある場合、慢性的な病気等で医療費が嵩んだ場合、本人又は配偶者の出産費用(出産前の定期健診費用も含む)がかかった場合などは、この控除で還付を受けられます。計算式は、
(医療費の額-保険金等で補填される金額)-10万円
となります。ただし、総所得金額等が200万円以下の場合は、
(医療費の額-保険金等で補填される金額)-所得額の5%
となります。

【 寄付金控除 】
 「寄付金控除」は、国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合に受けることのできる所得控除です。寄附金控除の控除額の計算方法は、以下の通りです。
次のいずれか低い金額-2,000円=寄附金控除額
(1) その年に支出した特定寄附金の額の合計額
(2) その年の総所得金額等の40%相当額
 ちなみに、最近話題になっている「ふるさと納税」は、この寄付金控除の仕組みを活用したものですね。支援したいと思う自治体に住民税を納付することにより、その年の所得税と翌年の住民税が軽減されます。それに加えて、各自治体からの「お礼の品」(特産品)が貰えます。例えば、4万円納税して 3万8千円 の寄付金控除(40,000円-2,000円=38,000円)を受けた場合、実質2千円で地域の特産品をプレゼントされることになります。2,000円を超える品物を取り揃えている自治体もありますので、「自治体応援&プレゼント」とダブルで満足できます。