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役員報酬の種類 (2) - 事前確定給与



役員報酬の種類 (2) - 事前確定給与

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1. 事前確定届出給与とは?
2. 支払わなかった場合、どうなる?



 役員報酬(役員給与)は、前ページでご説明した 定期同額給与 のほかに、「事前確定届出給与」というものもあります。役員の場合、原則として「定期同額給与」で支払うこととなっており、期中での増額等は基本的に認められていません。とはいえ、役員にも「従業員のような夏&冬のボーナスを出して、やる気を高めてあげたい」とお考えになる経営者もいらっしゃるかと思います。そのような場合には、この「事前確定届出給与」という例外規定を利用することになります。一見、「ボーナス」に似たようなスタイルを採ることができる給与支払い方式です(表面的な形が似ているだけですが・・・)。


 事前確定届出給与とは、税務署にあらかじめ、いついつの時期にいくらの金額を役員給与として支払うという届出書を提出し、実際にその時期に同額の役員給与を支払った場合にのみ、会社の経費として認められる、という制度です。

 ただし、「指定時期に、届け出と全く同額の役員給与」を支払うことが必須の条件となっており、金額が異なっていれば、その全額が経費として認められなくなります(否認されます)。うーん、結構リスクがありますね。会社は、経営環境の変化が頻繁に起こるため、期中で業績が悪化して 「事前確定届出給与のような まとまった金額」 を一度に支払えなくなることだってあります。役員たちの士気を高める目的(賞与スタイルの役員報酬を支払う目的)でこの「事前確定届出給与」の制度を利用するのは、ちょっと難しいかもしれませんね。




 税務署に届け出を出したにもかかわらず、実際に「事前確定届出給与」を支払わなかった場合はどうなるのでしょうか。例えば、「業績が悪化したので、『金額を減らす』のではなく、『全額支払わなければいい』んじゃない?」と考える方もいらっしゃるかと思います。確かに、支払額をゼロにすれば、法人税の課税対象そのものが消えてなくなるわけですから、「法人税を支払うリスク」は無くなります。


 しかし、役員各人に対しては、「事前確定届出給与を支払う」という約束になっているため、役員たちから「支払ってくれ」と請求されれば拒否できません(役員の報酬請求権)。つまり、支払い義務が生じてしまうのです。役員の報酬請求権を消滅させるためには、役員の同意が必要になります。


 それだけではありません。事前確定給与は、「支給日の到来前に 役員が辞退の意思を表示しない場合は、その支給の有無に関わらず、原則(役員個人の事前確定届出給与の金額に対して)源泉所得税を課税する」という税務上のルールがあります。このため、役員が期限前に辞退の意思を表示しないと、(実際に支払っていなくても)その年の役員個人の給与が支払われたものとみなされ、役員個人の所得税の課税対象となりうる可能性が高いです。・・・オソロシイですね。




 給与(事前確定届出給与)をもらっていないのに、その額に対する所得税等が課税されたら、そりゃその役員たちは怒るに決まっています。会社への訴訟だってあり得る話になってきてしまいます。こういうことをトータルで考えると、「事前届出確定給与」というのは、とても使いづらい&それなりの厄介なリスクを持っている制度と言えなくもありません。もちろん、会社の資金が潤沢にあり、事前の予定通りに支払う能力がある会社なら、積極的に活用して 経営管理に役立てるのもいいですね。

 税務署も、抜け道(会社の利益操作のための抜け道)が出来ないよう、イロイロ考えて制度を作っていますね。うーん、大したもんです。もちろん、破綻寸前の「わが国の税収確保」という観点から考えれば、これらの制度は、至極当然な制度とも言えます。一部の会社だけが利益操作をしてズルするのは、良くないですもんね。一定のルールの下で、健全に儲けましょう!