「業務主宰役員給与の損金不算入」は廃止
以前、「業務主催役員給与の損金不算入」という制度が作られましたが、あまりにも不評を買ったため、平成22年にこの制度は廃止されました(適用されなくなりました)。無くなったにもかかわらず、現在もこの制度を丁寧に解説しているページ等が多数存在しますので、ご注意ください。
ちなみに、「業務主催役員給与の損金不算入」とはどういうものだったのかを、簡単に説明しておきます。
特殊支配同族会社(簡単に言うと、代表者一族で90%以上の株を所有し、且つその半数以上が業務に常務<常勤>している会社のこと)の場合で、基準所得金額(役員給与+法人所得の合計)が1,600万円以上の場合は、「業務主催役員給与の損金不算入」が適用される、という制度でした(ただし、1,600万超~3,000万円以下の場合であっても、一定の条件を満たせば適用除外)。
本制度への世間の評価は厳しかった
この制度が作られた当初は、上限1,600万円の箇所が「上限 800万円」となっていました。その超過部分ついては、会社の経費としては認められず、法人税等の課税対象となる・・・ということでした。
「800万円を超えたら、その差額は法人税が課税されるなんて、いくらなんでもヒドイんじゃない?」 「なんで起業して頑張ろうとしている経営者たちを踏みつぶそうとするの?」 「起業の芽を摘むことになり、中小企業が支えている日本の技術力・開発力を消滅させかねない」 といった意見や不満が一気に噴出するなど、世間の評価は大変厳しいものでした。
その後、1,600万円まで引き上げられましたが、やはり総額1,600万円でも少ないという意見は数多く、結局平成22年にこの制度は廃止されました。
皆さんご存知の通り、中小企業は、日本の製造業の大きな土台&柱になっています。日本の中小企業の技術力・開発力の原動力(努力に対する対価)を削いでしまうような本制度は、やはり日本には馴染みませんね。いくら税収不足という危機的状態であるとしても・・・です。
「(税金が)取れるところから取ってしまえ」という、安易な発想で法制化したとしか思えず、まさに「禁じ手」を使ったような法律でした。