株式会社:決算公告の方法

会社設立 (法人の開業)

「電子公告」の掲載要件について

「インターネット公告」(電子公告 / 電磁的方法による公告)の場合は、自社などのホームページに決算を公表する方法でもOKですので、費用はほとんどかかりません。

また、既に株式会社を設立しており、かつ従前の「官報への公告」を選択している場合であっても、決算公告(貸借対照表の開示)に限り、電子公告(自社サイトへの電磁的方法による開示)を行うこともできます(会社法440条3項)。つまり、決算公告のみ電子化(インターネットの公告)する場合は、「官報記載」としていてもOKです。

話は戻りますが、本項では「電子公告の掲載要件」について解説していきたいと思います。

【 電子公告の掲載要件について 】
(1) 貸借対照表を掲載
ホームページ上に貸借対照表の全体(全文)を掲載します(資本金5億円未満、負債総額200億円未満の会社であれば、貸借対照表の掲載のみでOKです)。全体(全文)を記載ということですので、要旨ではなく、細かい科目まで掲載する必要があります。

(2) 5年間の継続掲載
向こう5年間 継続して掲載しなければいけません。決算を削除すると、過料(⇒ 金銭罰)の対象になります(但し、善意・無重過失の場合 <悪意がなく&とんでもない過失でない場合>を除く)。

(3) 取締役会での決議
決算公告のみをインターネットで行う場合、定款の変更は必要ありませんが、取締役会にて「決算公告だけをインターネットで行う」旨の決議をします。

また、「貸借対照表に係わる情報の提供を受けるために必要な事項」として、決算公告をするURL(ホームページのアドレス)の登記をします。

(4) 掲載場所は任意だが URLを登記
(3)にも書きましたが、掲載するURLは法務局で登記することが義務付けられています。掲載場所(URL)を変更する場合も、変更登記の手続きを行わなければいけません。ただし、ホームページは自社のものでなくても構いません(後述「「電子公告」はどのサイトに掲載する?」参照)。

「電子公告」のデメリットとは?

電子公告を選択するにあたり、留意しておきたいポイントは、「サイトユーザーが貴社のサイトにアクセスすると、いともカンタンにあなたの会社の台所事情を閲覧できてしまう」という点です。

「貸借対照表のみの掲載でOK」とは言っても、電子公告の場合は「科目の細部」まで掲載しなくてはいけませんし、また 資本項目(純資産の部)の「当期純利益(損失)」を見れば、前年度(直近の年度)の業績が一発で判明してしまいます。

業績が良ければ 自社サイトで公開してもあまり問題はありませんが、各種事情で業績が悪化した際には、自社のイメージは悪くなってしまいます。

また、ご近所やお知り合いの方がサイトにアクセスした場合も、ご自身の会社の財務状況を閲覧できます。そのような状況となりうることを、あらかじめ認識しておきましょう。

更に、「一般の目に触れる」ということになると、「悪用されて予期しないトラブルに巻き込まれる可能性もゼロではない」という状況下にも置かれる、ということを理解しておく必要があります。

[ 参考リンク ]

「電子公告」はどのサイトに掲載する?

なお、決算公告は、自社のサイト(ホームページ)でなくとも、帝国データバンク等の決算公告専門サイトによる掲載でもOKです(後述リンク参照)。

ただし、公告掲載・情報登録料として3万円程度の費用がかかります(官報への公告費用の約半額程度)。最低5年間の掲載が義務となっているので、仮に5年間継続して同社を利用するなら 3万円×5年=約15万円かかる計算になります(ちなみに、帝国データバンクは、1年で32,400円、5年契約で12万9,600円)。

業者のサイトに掲載する場合は、そのサイトのURLを貴社の登記簿に掲載することになりますので、登記(変更登記)をお忘れなく!

「自社のホームページ」も「業者の有料ホームページ」もイヤだ!という場合、別個に自分で独自ドメイン(ホームページアドレス)を取得して、そのサイトURLを法務局で登記すれば、そちらに掲載することも可能です。URLを登記して、そこにしっかりと掲載(公告)するのであれば、このような変化球的!?手法も可能です。

[ 参考リンク ]