株式会社:決算公告の方法

会社設立 (法人の開業)

株式会社の「決算公告」の方法は3種類

会社法では、「株式会社」「合同会社 (LLC)」「合名会社」「合資会社」の合計4種類の会社形態が認められています。

同法では 従前の法規制が大幅に緩和されており、柔軟な設立が可能となりましたが、この会社形態のうち「株式会社」においては、株主総会の承認を得た後、遅滞なく貸借対照表又はその要旨を公告(いわゆる決算公告)する義務が課せられています。仮に怠った(おこたった)場合は、100万円以下の過料(金銭罰)となります。

この決算公告は、「官報」(官報公告)、「日刊紙」(新聞公告)、「電子公告」の 3種類から選べます。昔は、「官報」または「日刊紙」への公告の2種類しかありませんでしたが、平成13年の商法改正により、「株主総会の承認を得た後、5年を経過する日まで、法務省令に定める電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けられる状態に置く」という措置をとれば、「官報」「日刊紙」への公告でなくともよい(つまり電子公告でOK)ということになりました。

この「公告方法」については、定款にどの方法による公告を選択したのか」を記載する必要がありますので、新規に株式会社を設立する場合は、あらかじめこの3方法から(ご自身の会社にとって)最も良い方法を選択し、明記しましょう。

なお、(決算だけでなくすべての)公告方法を「官報」「日刊紙」とした場合であっても、決算公告(貸借対照表の開示)に限り、電子公告(自社サイトへの電磁的方法による開示)を行うこともできます(会社法440条3項)。(注意点については「株式会社:決算公告の方法」をご参照ください)

決算公告の「費用」を種類別に比較

(1) 官報
官報(官報公告)は、2枠なら 72,978円、3枠なら 109,467円、4枠なら 145,956円 になります(いずれも消費税8%の税込価格 – 平成30年調査)

中小零細企業の場合は貸借対照表のみの掲載となりますが、スペースの関係上、通常は2枠のスペースが必要となります。これを毎年支払っていくことになります。高いですね。

(2) 日刊紙
日刊紙(日刊新聞)への掲載(新聞公告)は、10万円~20万円程度で済むところもあります。50万円程度の新聞社もあります。

しかし、某大手の経済新聞社ですと最小サイズ ⇒ 100万円(2段×8cm)、少し大きめ ⇒ 200万円(3段×11cm)、大きめ ⇒ 300万円(3段×16cm)といった具合に、目玉が飛び出るほどの多額の費用がかかります。

仮に10万円~20万円の新聞社をうまく見つけられたとしても、官報同様、毎年支払うのはちょっとしんどい気もしますね。このため、大半の中小企業は日刊紙に掲載する方法を選択しません。

(3) 電子公告
自社のホームページに掲載する場合、費用はかかりません。ただし、5年間の公告が義務です。帝国データバンク等の他社公告サービスを通じて掲載するなら、1年間で「3万円+消費税」程度となります。同じく5年間の公告義務があります。

以下に「官報公告掲載料金(現在の価格)」を確認できるページと、「帝国データバンクのインターネット公告」(電子公告)のページをリンクしました。

[ 参考リンク ]